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2.Ⅿy baby
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翌日、土曜日の夜九時を回った頃、リックがやってきた。
毎週、土曜日の夜は、レティシアにフォルティスの言葉を教えるために、リックがやって来る約束だった。
ベッドに入っていたものの、まだ眠っていなかった、アンディとデイヴは、リックが来たと知るや否や、ベッドから飛び出して、階段を駆け下り、玄関までやって来た。
「リック、何の御用?」
「リック、遊ぼうよ」
「リック、僕、おもちゃ持っているんだよ」
と、ふたりは、久方ぶりに会う来訪者に纏わりついて、中々離れなかった。
「あなたたち、リックは、レティシアに御用なの。いい加減、ベッドに入って、眠りなさい」
ケイティは、降りてきた二人を、子供部屋へと追い立てる。
「僕、リックと遊ぶもん」
アンディが、リックのズボンにしがみついた。
「チビ助、今、母さんに何て言われたんだ?ベッドに入って、早く寝ろってよ」
リックは、アンディを抱き上げて、その鼻先を軽く突いた。
「リック、僕も抱っこ」
と、デイヴもリックに手を伸ばしてくる。
「本当にきりがないのよ、この子達ったら」
と半ば呆れつつ、ケイティが、レティシアを呼ぶ。
呼ばれて、レティシアが、下りて来た。
レティシアはリックの姿を認めると、黙って頭を下げ、ケイティから、駄々をこねるデイヴを引き受けて、上へと戻って行った。
「アンディ、お母さんは、リックに話があるの。先に上へ上がってなさい」
「嫌だ」
「四歳のお誕生日のお祝い、あなたはしなくてもいいのね?」
「それも、嫌」
「だったら、上がりなさい。いいこと?さあ、早く」
もうすぐ四歳を迎えるとあって、少しばかり聞き分けの良くなって来た長男アンディは、名残惜しそうに、何度も振り返ってリックに手を振りながら、しぶしぶ階上へと上がって行った。
そのアンディを見届けてから、
「リック、少し話があるの。レティシアのことよ」
と、ケイティは二階の様子を気にしつつ声をひそめ、灯りを手に、リックを一階のキッチンへと招き入れた。
「レティシアが、どうかしたのか?」
「私の方には、何の問題もないわ。彼女は、朝起きてから、寝るまで、本当によくやってくれているもの。ギルとウォルトの夜泣きが酷い時には、嫌な顔ひとつせずに、起きてくれて、本当に助かっているわ。ただ・・・、彼女の方が、大丈夫なのかしら」
「どういう意味だ?」
「何度も言うけど、彼女は、本当によく働いてくれているし、助かっているのよ。でも、どんな時でも、何があっても笑わないの。笑顔を見せないのよ。もしかしたら、ここでの暮らしが、彼女には辛いのかしらって思うの。それに・・・、おとといのことなんだけど、ギルとウォルトの夜泣きが酷かったから、レティシアが起きて来てくれて、ウォルトを抱いてくれていたの。これまでなら、レティシアが抱いて泣き止んでも、ギルもウォルトも、そのまま眠ることはなかったのよ。最後は、私の腕の中じゃないと、絶対に眠らなかった。だけど、おとといは、ほとんど毎夜、抱いてくれるレティシアに、きっと安心したのね。ウォルトが、そのまま、レティシアの腕で眠ったのよ。レティシアは、そのウォルトの顔を、じっと、見つめていたのだけれど、段々、息遣いが荒くなって、その表情が強張って来るの。私、不思議に思って、レティシアに声をかけたら、驚いたように顔を上げて、ウォルトを置くと、逃げるように、自分の部屋へ帰ってしまったのよ」
「子守りに、慣れていないだけじゃないのか?」
「そうなのかしら?一週間前に、あなたがレティシアを連れて来てくれた時、あなたの知り合いだったし、私、本当に眼のまわるような忙しさだったから、これまで、ユースティティアの修道院にいたっていうこと以外、何も聞かないままだったけれど、レティシアって、一体、どういう人なの?あなたの・・・、恋人?」
ケイティは探るような眼で、リックを見つめた。
リックは、ケイティから視線を外して、しばらくどう答えるべきか、言葉を探していたが、
「ああ、そうだ」
そう答えた。
「だったら・・・」
「詳しい事情は話せないが、レティシアは、俺の女だ。だが、四年前、修道院に入るまでの記憶を失っていて、俺のことを覚えていない」
「記憶を?」
「あいつには、抱えきれないほど、辛い過去がある。その辛い過去を抱えきれずに、記憶を失ってしまった」
「それで・・・、あなたは、これから一体どうするつもりなの?本当のことを、話すつもりはないの?」
「俺は、本当のことを言うつもりはない。それは、あいつを傷つけるだけだ。悪いが、あんたも今聞いたことを、あいつには話さないでくれ」
「リック・・・」
「俺は、もう一度、あの笑顔が見たい。レティシアの、あの優しい笑顔を・・・」
四年前、ウッドフィールドで最後に見た、花のように柔らかく、優しい笑顔を、リックは、思い浮かべていた。
「だから、この言葉の複数形は・・・聞いているのか?レティシア?」
リックは、うつむいたままで、到底、リックの話が耳に入っているとは思えない、レティシアの眼の前の机を、指でコンコンと、ノックした。
リックは、フランクの書斎を借りて、レティシアにフォルティスの言葉を教えていた。
レティシアは、促されるがまま、フランクの机についたものの、押し黙ったままだった。
リックはリビングから持ってきた椅子に座って、レティシアの前に紙とインクを置き、羽根ペンで、簡単な単語を書きつづりながら、話し始めたものの、レティシアがその説明を聞いている様子はなかった。
「レティシア」
リックのその呼びかけにも、レティシアは顔を上げなかった。
「何が気に食わないんだ?四人の子守りが、大変なのか?ここでの生活が、気に入らないのか?言いたいことがあるなら、言えよ」
それでも、レティシアは顔を上げなかった。
リックの話すフォルティスの言葉がわからないにせよ、レティシアの態度は、あからさまにリックを拒絶していた。
「レティシア」
と、リックが、レティシアの顔を覗きこもうとしたその時、レティシアは、さっと顔を上げて、そのヘーゼルの瞳で、リックを睨んだ。
そして、堰を切ったように、これまでじっと耐えて来た思いを、ユースティティアの言葉で、リックに訴え出した。
思わず、感情的になって、その瞳からは、涙があふれた。
こんな風に、訴えてみたところで、ユースティティアの言葉がわからないリックには、なにひとつわかってはもらえないのだと思うと、自分の哀しみや怒りは誰にも聞いてはもらえないのだと思うと、どうしようもなく情けなく、辛くなって、レティシアの瞳から、次々と涙があふれ出した。
ちょうどその時、階下から、扉の閉まる音と、話し声が聞こえた。
フランクが、帰って来たようだった。
「ちょっと、待ってろ」
リックは、感情が一気に吹き上げて、肩で大きく呼吸するレティシアを、手で制すると、書斎を出て行った。
そして、すぐにフランクを連れて戻って来た。
帰ってきたばかりのフランクは、コート姿で、手袋をし、ステッキを持ったままで、まだ、頭の上にハットが乗っていた。
夜遅くまで、外出していて疲れていないはずはなかったが、そのようなそぶりは全く見せず、フランクは、レティシアに、穏やかな声で、話しかけた。
フランクは、ユースティティアの言葉が話せた。
はっとした表情で、レティシアがフランクを見つめる。
いつも朝早く、帰りの遅いフランクとまともに顔を合わせるのは、これが初めてだった。
「疲れているところ悪いが、そいつの話を聞いてやってくれ、フランク」
フランクは、快く引き受けた。
フランクが穏やかに、ユースティティアの言葉でレティシアに話しかけると、レティシアは、涙をぬぐって、話し始めた。
患者を診るときは、いつもそうしているように、長身のフランクは、少し背中をまげて、その誠実な瞳で、レティシアの瞳をしっかりと見つめ、時折、相槌を打ちながら、静かに話を聞いてやっていた。
レティシアの話が終わると、フランクは、リックにレティシアの訴えを伝えた。
「突如、聖ラファエラ女子修道院から連れだして、見も知らぬ外国へ連れて来て、あなたの目的は一体何なのか、と。私が納得できるように説明をしてほしい。もしも、その説明ができないのなら、私を、いますぐ聖ラファエラ女子修道院へ帰してくれ、と。私は、もう少しで念願の修道女になって、一生涯、神に仕えるつもりだった。それが、私の心からの願いだったのに、あなたが、それを壊した、と」
レティシアは、フランクがリックに話を伝える間、涙と憤りを含んだ眼で、じっと、リックを睨んでいた。
「リック、このままでは・・・、彼女が可哀想だ」
フランクの言葉に、リックは答えなかった。
黙って、自分を睨むレティシアを、見つめ返した。
「リック・・・」
「いいだろう。修道院へ帰してやる」
フランクの言葉を遮る様に、レティシアを見つめたまま、リックは話しだした。
「望み通り、聖ラファエラ女子修道院へ帰してやる。ただし、それは、半年後だ。半年経って、どうしても帰りたいのなら、俺が向こうまで、送り届けてやる。フランク、レティシアに、そう伝えてくれ」
毎週、土曜日の夜は、レティシアにフォルティスの言葉を教えるために、リックがやって来る約束だった。
ベッドに入っていたものの、まだ眠っていなかった、アンディとデイヴは、リックが来たと知るや否や、ベッドから飛び出して、階段を駆け下り、玄関までやって来た。
「リック、何の御用?」
「リック、遊ぼうよ」
「リック、僕、おもちゃ持っているんだよ」
と、ふたりは、久方ぶりに会う来訪者に纏わりついて、中々離れなかった。
「あなたたち、リックは、レティシアに御用なの。いい加減、ベッドに入って、眠りなさい」
ケイティは、降りてきた二人を、子供部屋へと追い立てる。
「僕、リックと遊ぶもん」
アンディが、リックのズボンにしがみついた。
「チビ助、今、母さんに何て言われたんだ?ベッドに入って、早く寝ろってよ」
リックは、アンディを抱き上げて、その鼻先を軽く突いた。
「リック、僕も抱っこ」
と、デイヴもリックに手を伸ばしてくる。
「本当にきりがないのよ、この子達ったら」
と半ば呆れつつ、ケイティが、レティシアを呼ぶ。
呼ばれて、レティシアが、下りて来た。
レティシアはリックの姿を認めると、黙って頭を下げ、ケイティから、駄々をこねるデイヴを引き受けて、上へと戻って行った。
「アンディ、お母さんは、リックに話があるの。先に上へ上がってなさい」
「嫌だ」
「四歳のお誕生日のお祝い、あなたはしなくてもいいのね?」
「それも、嫌」
「だったら、上がりなさい。いいこと?さあ、早く」
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そのアンディを見届けてから、
「リック、少し話があるの。レティシアのことよ」
と、ケイティは二階の様子を気にしつつ声をひそめ、灯りを手に、リックを一階のキッチンへと招き入れた。
「レティシアが、どうかしたのか?」
「私の方には、何の問題もないわ。彼女は、朝起きてから、寝るまで、本当によくやってくれているもの。ギルとウォルトの夜泣きが酷い時には、嫌な顔ひとつせずに、起きてくれて、本当に助かっているわ。ただ・・・、彼女の方が、大丈夫なのかしら」
「どういう意味だ?」
「何度も言うけど、彼女は、本当によく働いてくれているし、助かっているのよ。でも、どんな時でも、何があっても笑わないの。笑顔を見せないのよ。もしかしたら、ここでの暮らしが、彼女には辛いのかしらって思うの。それに・・・、おとといのことなんだけど、ギルとウォルトの夜泣きが酷かったから、レティシアが起きて来てくれて、ウォルトを抱いてくれていたの。これまでなら、レティシアが抱いて泣き止んでも、ギルもウォルトも、そのまま眠ることはなかったのよ。最後は、私の腕の中じゃないと、絶対に眠らなかった。だけど、おとといは、ほとんど毎夜、抱いてくれるレティシアに、きっと安心したのね。ウォルトが、そのまま、レティシアの腕で眠ったのよ。レティシアは、そのウォルトの顔を、じっと、見つめていたのだけれど、段々、息遣いが荒くなって、その表情が強張って来るの。私、不思議に思って、レティシアに声をかけたら、驚いたように顔を上げて、ウォルトを置くと、逃げるように、自分の部屋へ帰ってしまったのよ」
「子守りに、慣れていないだけじゃないのか?」
「そうなのかしら?一週間前に、あなたがレティシアを連れて来てくれた時、あなたの知り合いだったし、私、本当に眼のまわるような忙しさだったから、これまで、ユースティティアの修道院にいたっていうこと以外、何も聞かないままだったけれど、レティシアって、一体、どういう人なの?あなたの・・・、恋人?」
ケイティは探るような眼で、リックを見つめた。
リックは、ケイティから視線を外して、しばらくどう答えるべきか、言葉を探していたが、
「ああ、そうだ」
そう答えた。
「だったら・・・」
「詳しい事情は話せないが、レティシアは、俺の女だ。だが、四年前、修道院に入るまでの記憶を失っていて、俺のことを覚えていない」
「記憶を?」
「あいつには、抱えきれないほど、辛い過去がある。その辛い過去を抱えきれずに、記憶を失ってしまった」
「それで・・・、あなたは、これから一体どうするつもりなの?本当のことを、話すつもりはないの?」
「俺は、本当のことを言うつもりはない。それは、あいつを傷つけるだけだ。悪いが、あんたも今聞いたことを、あいつには話さないでくれ」
「リック・・・」
「俺は、もう一度、あの笑顔が見たい。レティシアの、あの優しい笑顔を・・・」
四年前、ウッドフィールドで最後に見た、花のように柔らかく、優しい笑顔を、リックは、思い浮かべていた。
「だから、この言葉の複数形は・・・聞いているのか?レティシア?」
リックは、うつむいたままで、到底、リックの話が耳に入っているとは思えない、レティシアの眼の前の机を、指でコンコンと、ノックした。
リックは、フランクの書斎を借りて、レティシアにフォルティスの言葉を教えていた。
レティシアは、促されるがまま、フランクの机についたものの、押し黙ったままだった。
リックはリビングから持ってきた椅子に座って、レティシアの前に紙とインクを置き、羽根ペンで、簡単な単語を書きつづりながら、話し始めたものの、レティシアがその説明を聞いている様子はなかった。
「レティシア」
リックのその呼びかけにも、レティシアは顔を上げなかった。
「何が気に食わないんだ?四人の子守りが、大変なのか?ここでの生活が、気に入らないのか?言いたいことがあるなら、言えよ」
それでも、レティシアは顔を上げなかった。
リックの話すフォルティスの言葉がわからないにせよ、レティシアの態度は、あからさまにリックを拒絶していた。
「レティシア」
と、リックが、レティシアの顔を覗きこもうとしたその時、レティシアは、さっと顔を上げて、そのヘーゼルの瞳で、リックを睨んだ。
そして、堰を切ったように、これまでじっと耐えて来た思いを、ユースティティアの言葉で、リックに訴え出した。
思わず、感情的になって、その瞳からは、涙があふれた。
こんな風に、訴えてみたところで、ユースティティアの言葉がわからないリックには、なにひとつわかってはもらえないのだと思うと、自分の哀しみや怒りは誰にも聞いてはもらえないのだと思うと、どうしようもなく情けなく、辛くなって、レティシアの瞳から、次々と涙があふれ出した。
ちょうどその時、階下から、扉の閉まる音と、話し声が聞こえた。
フランクが、帰って来たようだった。
「ちょっと、待ってろ」
リックは、感情が一気に吹き上げて、肩で大きく呼吸するレティシアを、手で制すると、書斎を出て行った。
そして、すぐにフランクを連れて戻って来た。
帰ってきたばかりのフランクは、コート姿で、手袋をし、ステッキを持ったままで、まだ、頭の上にハットが乗っていた。
夜遅くまで、外出していて疲れていないはずはなかったが、そのようなそぶりは全く見せず、フランクは、レティシアに、穏やかな声で、話しかけた。
フランクは、ユースティティアの言葉が話せた。
はっとした表情で、レティシアがフランクを見つめる。
いつも朝早く、帰りの遅いフランクとまともに顔を合わせるのは、これが初めてだった。
「疲れているところ悪いが、そいつの話を聞いてやってくれ、フランク」
フランクは、快く引き受けた。
フランクが穏やかに、ユースティティアの言葉でレティシアに話しかけると、レティシアは、涙をぬぐって、話し始めた。
患者を診るときは、いつもそうしているように、長身のフランクは、少し背中をまげて、その誠実な瞳で、レティシアの瞳をしっかりと見つめ、時折、相槌を打ちながら、静かに話を聞いてやっていた。
レティシアの話が終わると、フランクは、リックにレティシアの訴えを伝えた。
「突如、聖ラファエラ女子修道院から連れだして、見も知らぬ外国へ連れて来て、あなたの目的は一体何なのか、と。私が納得できるように説明をしてほしい。もしも、その説明ができないのなら、私を、いますぐ聖ラファエラ女子修道院へ帰してくれ、と。私は、もう少しで念願の修道女になって、一生涯、神に仕えるつもりだった。それが、私の心からの願いだったのに、あなたが、それを壊した、と」
レティシアは、フランクがリックに話を伝える間、涙と憤りを含んだ眼で、じっと、リックを睨んでいた。
「リック、このままでは・・・、彼女が可哀想だ」
フランクの言葉に、リックは答えなかった。
黙って、自分を睨むレティシアを、見つめ返した。
「リック・・・」
「いいだろう。修道院へ帰してやる」
フランクの言葉を遮る様に、レティシアを見つめたまま、リックは話しだした。
「望み通り、聖ラファエラ女子修道院へ帰してやる。ただし、それは、半年後だ。半年経って、どうしても帰りたいのなら、俺が向こうまで、送り届けてやる。フランク、レティシアに、そう伝えてくれ」
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