旦那様は私ではなく妹が好きなのですね。

藍川みいな

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ギルの戦い

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 祈り続けるアイリス...
 目を覚ましたギルは、邪魔をしないように見守っていた。

 祈り始めてから半日が経とうとしていた...
 白い光が国中を包み込み、魔物達が次々消滅し、魔物に襲われていた人達も救われ、この国全体に結界が張られた。
 
 アイリスが目を開けた時、ギルの優しい笑顔が目に映った。

 「お疲れ様、アイリス。」

 ギルはアイリスに近寄り、優しく頭を撫でた。

 「ギル、ありがとう。」

 そう言うと、力を使い切ったのか、アイリスは意識を失いギルへと倒れ込んだ。

 ドサッ...
  
 倒れてきたアイリスをギルは抱きとめ、横抱きにして馬車へと連れて行き寝かせた。

 「こんなになるまで力を使わせてすまなかった。今度は俺が頑張る番だ!」

 ギルはそっとアイリスのおでこにキスをし、馬車を降り廃墟の町へと歩き出した。
 アイリスの結界のお陰で、大体の魔物は消滅していたが、強力な魔物はやはり残っていたようで、ギルを見つけるとすぐに襲って来た!

 「ゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!」

 現れたのはサラマンダー!!
 火の精霊だ!!

 サラマンダーは豪炎の吐息を放って来た!
 ギルはサッと避けたが、避けた先にも豪炎の吐息を放つサラマンダー......だが、アイリスの結界の鎧のお陰で無傷で済んだようだ。

 「ハァハァ...アイリスの結界の中にいるにも関わらず、こんなに強いのか...。くそっ!あの炎のせいでサラマンダーに近づくことが出来ない...。」

 
 ギルがサラマンダーと死闘を繰り広げている頃...

 「なんでいるのですか?」

 サシャとオーウェンは、また町中で醜い争いをしていた。

 「おまえに関係ないだろ!!」

 「一緒に行った人達はどうしたのですか?まさか...置き去りにして逃げてきたのですか!?」

 「う、うるさい!あいつらは、気づいた時には死んでたんだ!仕方ないだろ!!」

 「もう二度と会わないはずだったのに...なんで戻ってくるんですか。他の町に行ってくださいよ!」

 「おまえの町じゃないだろ!!偉そうにするな!」

 オーウェンにはこの町までの道のりしかわからなかっただけだった。

 「おい!金を貸せ!」

 オーウェンはサシャに右の手のひらを出した。

 「...はぁ!?」

 「全て馬車に置いて来てしまったのだ!金を貸せ!」

 サシャはこんなアホなオーウェンなんかを、かまうのはやめようと無言で背を向けた時、オーウェンに肩を掴まれた!

 「痛っ!!」

 「金を貸せと言ってるだろ!!」
 
 ガシッ!!

 その時、サシャを掴んでいたオーウェンの手が離れた!
 
 「女性に乱暴な真似はおやめ下さい!」


 
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