旦那様は私ではなく妹が好きなのですね。

藍川みいな

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結界を張ろう

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 歩き出したサシャだったが、この先は魔物がいる場所を通らなくては先に進めない。
 とりあえず、一緒に行ってくれる冒険者が見つかるまで、この町に留まることにした。

 オーウェンはアイリスがどこへ向かったのか聞き込みをし、北へ向かったのだと知ると、馬車を借り、冒険者を雇いすぐさま出発した。

 1日が過ぎ、順調に進んでいたかに思われたが...馬車の中で眠っていたオーウェンの耳に、悲鳴が聞こえた!

 「ギャーーーーーッ!!」

 オーウェンは飛び起きた!
 急いで表に出ると、辺り一面巨大蟻に囲まれていた!
 すでに雇った馭者と冒険者は、巨大蟻に惨殺された後だった。
 
 「ひひーんっ!」

 馬車を引く馬のうち、一頭が捕まった!
 オーウェンはもう一頭に跨り、馬車に繋いだロープを切り、勢いよく手網を引いた!
 馬は走り出し、巨大蟻の間をすり抜け、何とか巨大蟻から逃げおおせた。

 「はぁはぁ...。何なんだあの魔物の数は!?くそっ!何もかも失ってしまった!アイリスはこんな所を通ったのか!?」

 ロイド達が襲われた時と一緒だった。
 アイリス達は馬車に結界を張っていたため、襲われることはなかったのだ。

 「...これからどうすればいいんだ。アイリスの目的地まで、あと9日はかかる...食料も水も金もない...。とりあえず戻るか。」

 オーウェンはサシャと別れた町へと戻って行った。

 
 ギルが王子様だと知ったアイリスは、ギルの生い立ちを聞いて、ますます力になりたいと思っていた。

 「ギル...話してくれてありがとう。」

 お父様が見つけてくれたじゃなく...見つかっただった。
 ギルはずっと苦労してきたんだ...。
 町が出来たら子供達だけでなく、ギルにも幸せになって欲しい。

 その日、食料が減って少し余裕が出来た馬車の中で、アイリスとギルは手を繋いで眠りについた。

 翌朝目を覚ましたアイリスは、まだ眠るギルを起こさないように、表に出た。

 ここから廃墟の町までじゃダメだ...。
 この国全体に結界を張ろう!
 
 アイリスは先のことを考えていた。
 この先、町に結界を張ったあと、町を作るために必要な人達が安全に来られるように。
 子供達が怖い思いをせず、ここに来られるように。

 アイリスは目をつぶり、集中し始めた。



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