旦那様は私ではなく妹が好きなのですね。

藍川みいな

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あと4日

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 「お嬢様...それは...」

 ロイドはアイリスの言葉に、返す言葉が見つからなかった。

 「実は前から知っていました。子供の頃から、サシャばかり気にかけていましたものね!」

 アイリスはわざといじける素振りを見せた。

 「お、お嬢様...お許しください。」

 ロイドの顔は真っ赤になり、下を向いた。

 「からかってごめんなさい。ずっとサシャが羨ましかったんです。誰かに愛されるって、どんな気持ちなんだろうって...。でもサシャは気づいてませんでしたよ?」

 こんなに想ってくれてる人がそばに居たのに、どうしてサシャはオーウェン様を...?

 「そういえば、ロイドはなぜ商人に?」

 「サシャ様が屋敷を出てすぐに、旦那様に仕えていた使用人は全て追い出されました。私はここにいる仲間と、最近商売を始めました。」

 追い出されたって...どうして?
 お父様の商売を引き継いだのはゲイドだと聞いていた。
 ゲイドは商人として、お父様と同じくらいの才能があった。
 サシャの事だって大切に.........サシャは大切にしてもらっていたのかな?
 私は自分の事しか考えてなかった...お父様が亡くなった後のサシャの事を、考えてあげられなかった。

 「サシャは...大切にされていなかったのですか?」

 ロイドは下を向いた。

 「...元々ゲイド様は、サシャ様がお嫌いでした。旦那様への恩から、お金の面での援助はしていましたが、ある日サシャ様の、何人もの使用人との悪い噂がたち...サシャ様が出ていったのをいい事に、屋敷を我がものになさりました。」

 それじゃあ、サシャに帰る場所はないって事!?
 あんな事をされたけど...サシャはたった1人の妹...。
 サシャには幸せになってもらいたいと思う...。
 それに、追い出された使用人達も...。
 
 
 翌日、アイリスとギルはロイドたちと別れ、予定通り廃墟の町へと向かった。

 あと4日ほどで目的地に着く。
 徐々に力が自由に使えるようになって来たとはいえ、まだまだ不安だった。
 ギルは強いけど、私を守りながら戦うのは大変な事だと思う。
 それなら...
 
 「ギル、廃墟の町に近づいたら、先に結界を張るというのはどうかな?今の私の力じゃ、強力な魔物を消滅させることは出来ない...でも魔物を弱らせることは出来ると思う。」

 魔物を弱らせたら、危険は減る。

 「それは...可能なのか?範囲が広すぎる。あんたの力が持つかどうか...。」

 「私は聖女なのですよ?やり遂げてみせます!」

 私は甘やかされて育った世間知らず...
 そんな私を、ギルが信じてくれる。
 それだけで、私は強くなれる!

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