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アンソニー様がいなくなりました。そして…
しおりを挟む「クソ! なんなんだアイツは! ジョアンナは、私の妻なのに!!」
アンソニーはすぐに目を覚まし、2人が話をしている隙にこっそりその場を離れていた。
「誰が妻なんですか?」
振り返ると、ミランダが立っていた!
「なんだお前!? なぜ生きているんだ!?」
アンソニーは一目散に逃げて行ったあと、ベナミンは敵の手に落ちたのだと思っていた。
必死で逃げて、ジョアンナを連れ帰る為にここまで来た為、ベナミンの様子を知らなくても無理はなかった。
ベナミンが敵の手に落ちたと思っていたのだから、当然ミランダも死んだと思っていた。
「私が死んだと思っていたのですか!? 自分1人で逃げて、私を見捨てたんですか!?」
「何が悪い! お前のせいで、ジョアンナがいなくなり、私は屈辱を味わったのだ! お前さえいなければ、私は戦場の悪魔でいられたんだ!!」
「ご自分の力の無さを、私のせいにするのですか!?」
「うるさい! お前などいらぬ! 消えろ!!」
ドンッッッ……バサッ……
アンソニーは、ミランダを突き飛ばし、背を向け歩き出した。
……………………グサッ……ポタッ……ポタポタ……
「……き……き……さま……」
ミランダは、アンソニーを追いかけ、背後からナイフで背中を刺していた!
「私がいらない? いらないのはお前なんだよッ!! 私の物にならないなら、お前などいらない…………この役立たず。」
……バサッ……
ミランダがナイフを引き抜くと、アンソニーは地面に倒れ込んだ。
そしてミランダは、そのまま姿を消した。
アンソニーが亡くなり、ベナミンをジェンセンが守る事になった。
国王はジェンセンに、アンソニーの持っていた土地を全て与え、ベナミンを守って欲しいと頼んだ。
アンソニーの軍がジェンセンを慕っていた事、そして何より国境を安心して任せられるのが理由だった。
「ジェンセン様、ベナミンをお願いします。」
「その事なんですが……」
ジェンセンは、ジョアンナの目を見つめ……
「一緒に来ては頂けませんか?」
「それは、精霊の加護を受けた者として……ですか?」
「いいえ、違います。私の妻として、ジョアンナに一緒に来て欲しいのです。」
「え……」
「急にこんな事を言われたら、戸惑いますよね。初めてあなたに会った時に過ごした、あの2週間が忘れられないのです。」
ジェンセン様が、そんな風に思ってくださっていたなんて……
「……私も、あの2週間が忘れられませんでした。私なんかで……よろしいのですか?」
「あなたでなければ、ダメなのです。」
ジェンセンは、ジョアンナの顔をそっと引き寄せ……キスをした。
あれから3年の月日が流れた。
ジェンセンのおかげで、ベナミンは平和な時を過ごしている。
ジェンセンは、沢山の国と交渉し平和条約を結んでいった為、国同士の争いはほとんどなかった。
ジェンセンが元いた西の辺境ムスマリンは、ジョアンナの父、キーベル伯爵が守っていた。
そして私達も、幸せな時を過ごしていた。
「ジョアンナ、今日は何があった?」
「今日はですね……」
旦那様といると、毎日が楽しくて、本当に幸せです。
旦那様には、精霊の加護の力は必要なかったけど、実はこっそり祈っている。
大切な旦那様を守りたい気持ちは、仕方のない事だよね!
これからも私は、旦那様を愛し、旦那様を守り続けます。
END
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