〖完結〗拝啓、愛する婚約者様。私は陛下の側室になります。

藍川みいな

文字の大きさ
上 下
14 / 15

カイトの最後 *残酷な描写があります。

しおりを挟む

 カイト様は、国を裏切った罪で晒し首になります。国を裏切った罪はとても重い……首を切り落とされる前に、3日間、処刑場にはりつけにされて国民に晒されます。
 3日経つと首を切り落とされ、その首を1週間、処刑場に晒される。
 

 「陛下、お助けください!!」

 刑が言い渡され、命乞いをするカイト。

 「見苦しいぞ!! お前は何をしたのか、分かっているのか!?」
 
 カイトに激怒しているのは、バーキュリー侯爵だ。バーキュリー侯爵は被害者だと言える。息子を失ったと思い、遺体のない葬儀まであげ、悲しみながら生きてきたのに、息子は死を偽装した挙句に国を裏切った売国奴になって目の前にいる。失ったはずの息子が戻って来たと思ったら、処刑をされるのだから……
 そしてバーキュリー侯爵は、息子の犯した罪により、爵位を剥奪される。
 通常なら、国を裏切った者の家族は死罪。だが、ロベルトがバーキュリー侯爵は被害者だと判断した。それにより、バーキュリー侯爵は爵位剥奪で済んだのだ。
 
 「父上……俺は、デシタニアに騙されただけです! 」

 騙されたのは確かだが、国を裏切る選択をしたのはカイト自身だ。何の釈明にもならない。

 「お前は何も反省していないのだな……」

 カイトは全く反省をしていなかった。
 あの日、カイトは1人の兵士を殺害していた。自分の死を偽装する為に、1番下っ端のいなくなっても気付かれない兵士を殺し、自分のテントに血を残し、遺体を川に投げ捨てた。
 共に戦った何の罪もない兵士を殺害出来る神経は、誰にも理解出来なかった。

 翌朝、刑が執行された。
 カイトは磔にされ、国民に晒される。

 「どの面下げてこの国に戻って来たんだ!! この、売国奴ッ!!」

 ガッ!!

 国民達は、カイトに向かって石を投げる。

 「王妃様をたぶらかそうとした極悪人だ!! 貴様は地獄に堕ちろ!!」

 ガッ! ガッ!!  ガッ!!!

 次々に投げられる石。
 額が切れても、瞼が切れても、頬が腫れ上がっても止むことがない。

 「……た……すけ……て…………」

 この苦しみが3日間続く……
 いっそ、ひと思いに殺してくれと願わずにはいられない。

 「水だ。飲め。」

 「ゴクゴクゴク……」

 3日間は死なれては困る為、水だけは与えられる。
 死にたいと思っていても、体が水を欲していて飲んでしまう。
 そして苦しみを3日耐え、ようやく苦しみから解放される。

 「罪人、カイト・バーキュリーの処刑を行う! 最後に言いたいことはあるか?」

 「……リサに、会いたい……
 リサ……すまなかった……」

 ズバッッッッッッッ!!!!!!!!!

 切り落とされた頭が、地面にコロコロと転がる……

 カイトが3日間考えていた事は、リサと過ごした幸せな日々だった。大罪を犯したカイトが反省したのは、リサを裏切った事だけだった。
 カイトの最後の言葉は、リサに伝わる事はなかった。
 
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな
恋愛
 王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。 「お前との婚約を破棄する!!」  私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。  だって、私は何ひとつ困らない。 困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜

矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』 彼はいつだって誠実な婚約者だった。 嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。 『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』 『……分かりました、ロイド様』 私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。 結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。 なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。

(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。 なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと? 婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。 ※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。 ※ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※元サヤはありません。

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました

紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。 ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。 ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。 貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。

永遠の誓いを立てましょう、あなたへの想いを思い出すことは決してないと……

矢野りと
恋愛
ある日突然、私はすべてを失った。 『もう君はいりません、アリスミ・カロック』 恋人は表情を変えることなく、別れの言葉を告げてきた。彼の隣にいた私の親友は、申し訳なさそうな顔を作ることすらせず笑っていた。 恋人も親友も一度に失った私に待っていたのは、さらなる残酷な仕打ちだった。 『八等級魔術師アリスミ・カロック。異動を命じる』 『えっ……』 任期途中での異動辞令は前例がない。最上位の魔術師である元恋人が裏で動いた結果なのは容易に察せられた。 私にそれを拒絶する力は勿論なく、一生懸命に築いてきた居場所さえも呆気なく奪われた。 それから二年が経った頃、立ち直った私の前に再び彼が現れる。 ――二度と交わらないはずだった運命の歯車が、また動き出した……。 ※このお話の設定は架空のものです。 ※お話があわない時はブラウザバックでお願いします(_ _)

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。 アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。 15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。

処理中です...