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カイトの最後 *残酷な描写があります。
しおりを挟むカイト様は、国を裏切った罪で晒し首になります。国を裏切った罪はとても重い……首を切り落とされる前に、3日間、処刑場に磔にされて国民に晒されます。
3日経つと首を切り落とされ、その首を1週間、処刑場に晒される。
「陛下、お助けください!!」
刑が言い渡され、命乞いをするカイト。
「見苦しいぞ!! お前は何をしたのか、分かっているのか!?」
カイトに激怒しているのは、バーキュリー侯爵だ。バーキュリー侯爵は被害者だと言える。息子を失ったと思い、遺体のない葬儀まであげ、悲しみながら生きてきたのに、息子は死を偽装した挙句に国を裏切った売国奴になって目の前にいる。失ったはずの息子が戻って来たと思ったら、処刑をされるのだから……
そしてバーキュリー侯爵は、息子の犯した罪により、爵位を剥奪される。
通常なら、国を裏切った者の家族は死罪。だが、ロベルトがバーキュリー侯爵は被害者だと判断した。それにより、バーキュリー侯爵は爵位剥奪で済んだのだ。
「父上……俺は、デシタニアに騙されただけです! 」
騙されたのは確かだが、国を裏切る選択をしたのはカイト自身だ。何の釈明にもならない。
「お前は何も反省していないのだな……」
カイトは全く反省をしていなかった。
あの日、カイトは1人の兵士を殺害していた。自分の死を偽装する為に、1番下っ端のいなくなっても気付かれない兵士を殺し、自分のテントに血を残し、遺体を川に投げ捨てた。
共に戦った何の罪もない兵士を殺害出来る神経は、誰にも理解出来なかった。
翌朝、刑が執行された。
カイトは磔にされ、国民に晒される。
「どの面下げてこの国に戻って来たんだ!! この、売国奴ッ!!」
ガッ!!
国民達は、カイトに向かって石を投げる。
「王妃様をたぶらかそうとした極悪人だ!! 貴様は地獄に堕ちろ!!」
ガッ! ガッ!! ガッ!!!
次々に投げられる石。
額が切れても、瞼が切れても、頬が腫れ上がっても止むことがない。
「……た……すけ……て…………」
この苦しみが3日間続く……
いっそ、ひと思いに殺してくれと願わずにはいられない。
「水だ。飲め。」
「ゴクゴクゴク……」
3日間は死なれては困る為、水だけは与えられる。
死にたいと思っていても、体が水を欲していて飲んでしまう。
そして苦しみを3日耐え、ようやく苦しみから解放される。
「罪人、カイト・バーキュリーの処刑を行う! 最後に言いたいことはあるか?」
「……リサに、会いたい……
リサ……すまなかった……」
ズバッッッッッッッ!!!!!!!!!
切り落とされた頭が、地面にコロコロと転がる……
カイトが3日間考えていた事は、リサと過ごした幸せな日々だった。大罪を犯したカイトが反省したのは、リサを裏切った事だけだった。
カイトの最後の言葉は、リサに伝わる事はなかった。
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