〖完結〗拝啓、愛する婚約者様。私は陛下の側室になります。

藍川みいな

文字の大きさ
上 下
10 / 15

ロベルトの想い

しおりを挟む

 ロベルトは、レノンを疑っていた。レノンにずっと見張りをつけていたのだ。
 ルビーが部屋から出て行くのを見届けた後に、レノンがリサの部屋へと入ったことで、リサが危険だと感じ、見張っていた兵が踏み込んだのだった。

 「リサ! 無事か!?」

 しばらくして、ロベルトが部屋に駆けつけたのだが、部屋の様子を見て焦りを隠せなかった。

 「陛下、私は大丈夫です。」
 
 リサの無事を確認すると、レノンを睨みつけた。

 「貴様っ!!」

 ロベルトはレノンを殺してしまいそうな勢いだ。

 「おやめ下さい、陛下。」

 リサの言葉で、動きを止める。

 「レノン様には、しっかりと罪を償っていただきましょう。」

 陛下に相手にされなかった事が、きっとレノン様にここまでさせた。陛下がレノン様に怒りをぶつけるのは、逆にご褒美になる気がする。
 陛下が来るまでに、レノン様は自分の罪を自慢みたいに話していた。王妃様の事も……
 散々嫌がらせされて、好きな方だったとは言えませんが、死ななくてはならないような事はされていません。罪を着せられたまま、レノン様に殺された。どんなに悔しかった事でしょう……
 私がもっと早く目覚めていたら……そう思わずにはいられません。レノン様は、絶対に許さない。許せない!

 「地下牢に入れておけ。」

 レノン様は地下牢に入れられ、面会は禁止された。

 「本当に無事でよかった。あの女が、簡単にここに出入り出来た事も問題だな。いくら公爵令嬢でも、なぜこうも簡単にここに来れたのか……」

 その理由はすぐに分かりました。
 側室のエイリーン様が、レノン様を自由に出入り出来るようにしていたようです。
 エイリーン様のご実家は、多額の借金を抱えていて、レノン様のお父様であるドレイク公爵への借金だったそうです。何も知らなかったとはいえ、借金をしている後ろめたさからレノン様に協力したエイリーン様も、処分は免れないでしょう。

 「ずっと、看病してくださっていたとお聞きました。ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。」

 陛下には、ご迷惑をおかけしてばかりです。

 「迷惑などではない。無事に回復してくれて、本当にありがとう。
 君が辛い目にあっていたのに、私は何も出来なかった……すまない。」

 陛下が謝る事なんて、何もありません。陛下はいつも私を気遣ってくださいました。
 レノン様を信じてしまった私の過ちです。

 「レノン様に、会わせていただけませんか?」

 レノン様は捕らえられてから、何も話さないそうです。私にはあんなにベラベラと話したのに、尋問されても拷問されても、何も話さない。

 「会わせたくない。」

 「陛下……私の事を、心配してくださっているのは分かっています。レノン様は何もお話していないそうですね。私には、話すかもしれません。
 お願いします! 私もお役に立ちたいのです!」

 陛下は私が諦めないことを知っています。

 「はあ……
 君には、一生勝てそうにないな。」

 私もです。私も、陛下には勝てそうにありません。いつも私を想ってくださり、私の事を1番に考えてくださる。そんな陛下に、私はずっと甘えっぱなしです。

 いつから私は、陛下の事を……

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!

風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。 結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。 レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。 こんな人のどこが良かったのかしら??? 家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――

(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。 なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと? 婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。 ※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。 ※ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※元サヤはありません。

愛せないですか。それなら別れましょう

黒木 楓
恋愛
「俺はお前を愛せないが、王妃にはしてやろう」  婚約者バラド王子の発言に、 侯爵令嬢フロンは唖然としてしまう。  バラド王子は、フロンよりも平民のラミカを愛している。  そしてフロンはこれから王妃となり、側妃となるラミカに従わなければならない。  王子の命令を聞き、フロンは我慢の限界がきた。 「愛せないですか。それなら別れましょう」  この時バラド王子は、ラミカの本性を知らなかった。

【完結】どうかその想いが実りますように

おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。 学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。 いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。 貴方のその想いが実りますように…… もう私には願う事しかできないから。 ※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗 お読みいただく際ご注意くださいませ。 ※完結保証。全10話+番外編1話です。 ※番外編2話追加しました。 ※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました

紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。 ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。 ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。 貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。

元婚約者が愛おしい

碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。 留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。 フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。 リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。 フラン王子目線の物語です。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

永遠の誓いを立てましょう、あなたへの想いを思い出すことは決してないと……

矢野りと
恋愛
ある日突然、私はすべてを失った。 『もう君はいりません、アリスミ・カロック』 恋人は表情を変えることなく、別れの言葉を告げてきた。彼の隣にいた私の親友は、申し訳なさそうな顔を作ることすらせず笑っていた。 恋人も親友も一度に失った私に待っていたのは、さらなる残酷な仕打ちだった。 『八等級魔術師アリスミ・カロック。異動を命じる』 『えっ……』 任期途中での異動辞令は前例がない。最上位の魔術師である元恋人が裏で動いた結果なのは容易に察せられた。 私にそれを拒絶する力は勿論なく、一生懸命に築いてきた居場所さえも呆気なく奪われた。 それから二年が経った頃、立ち直った私の前に再び彼が現れる。 ――二度と交わらないはずだった運命の歯車が、また動き出した……。 ※このお話の設定は架空のものです。 ※お話があわない時はブラウザバックでお願いします(_ _)

処理中です...