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ロベルトの想い
しおりを挟むロベルトは、レノンを疑っていた。レノンにずっと見張りをつけていたのだ。
ルビーが部屋から出て行くのを見届けた後に、レノンがリサの部屋へと入ったことで、リサが危険だと感じ、見張っていた兵が踏み込んだのだった。
「リサ! 無事か!?」
しばらくして、ロベルトが部屋に駆けつけたのだが、部屋の様子を見て焦りを隠せなかった。
「陛下、私は大丈夫です。」
リサの無事を確認すると、レノンを睨みつけた。
「貴様っ!!」
ロベルトはレノンを殺してしまいそうな勢いだ。
「おやめ下さい、陛下。」
リサの言葉で、動きを止める。
「レノン様には、しっかりと罪を償っていただきましょう。」
陛下に相手にされなかった事が、きっとレノン様にここまでさせた。陛下がレノン様に怒りをぶつけるのは、逆にご褒美になる気がする。
陛下が来るまでに、レノン様は自分の罪を自慢みたいに話していた。王妃様の事も……
散々嫌がらせされて、好きな方だったとは言えませんが、死ななくてはならないような事はされていません。罪を着せられたまま、レノン様に殺された。どんなに悔しかった事でしょう……
私がもっと早く目覚めていたら……そう思わずにはいられません。レノン様は、絶対に許さない。許せない!
「地下牢に入れておけ。」
レノン様は地下牢に入れられ、面会は禁止された。
「本当に無事でよかった。あの女が、簡単にここに出入り出来た事も問題だな。いくら公爵令嬢でも、なぜこうも簡単にここに来れたのか……」
その理由はすぐに分かりました。
側室のエイリーン様が、レノン様を自由に出入り出来るようにしていたようです。
エイリーン様のご実家は、多額の借金を抱えていて、レノン様のお父様であるドレイク公爵への借金だったそうです。何も知らなかったとはいえ、借金をしている後ろめたさからレノン様に協力したエイリーン様も、処分は免れないでしょう。
「ずっと、看病してくださっていたとお聞きました。ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。」
陛下には、ご迷惑をおかけしてばかりです。
「迷惑などではない。無事に回復してくれて、本当にありがとう。
君が辛い目にあっていたのに、私は何も出来なかった……すまない。」
陛下が謝る事なんて、何もありません。陛下はいつも私を気遣ってくださいました。
レノン様を信じてしまった私の過ちです。
「レノン様に、会わせていただけませんか?」
レノン様は捕らえられてから、何も話さないそうです。私にはあんなにベラベラと話したのに、尋問されても拷問されても、何も話さない。
「会わせたくない。」
「陛下……私の事を、心配してくださっているのは分かっています。レノン様は何もお話していないそうですね。私には、話すかもしれません。
お願いします! 私もお役に立ちたいのです!」
陛下は私が諦めないことを知っています。
「はあ……
君には、一生勝てそうにないな。」
私もです。私も、陛下には勝てそうにありません。いつも私を想ってくださり、私の事を1番に考えてくださる。そんな陛下に、私はずっと甘えっぱなしです。
いつから私は、陛下の事を……
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