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婚約を破棄され、追放されました。
しおりを挟む「聖女リローナ・アルタ、おまえとの婚約を破棄し、この国から追放する!」
城に呼び出され、カールソン王子にそう告げられた
この国ヒダリヤでは、王子は聖女と結婚しなければならないと定められていた
歳が合う聖女は私しかいなかった為、王子は仕方なく容姿が醜く力の弱い私と婚約をした
それがどうしても嫌だったのだろう…聖女をどこからか探してきたようだ
ただ、私と先に婚約をしてしまった為、破棄をする為に追放までしなくてはならなかった…という事だろう
自分勝手なカールソン王子と結婚をしなくてすんだのだから、よしとしよう
「分かりました。失礼致します。」
この国で聖女として働いてはいたが、本当は国を出たいと思っていた。
私には秘密がある……
呪われているのだ。
私は公爵家の人間だった…だが、その呪いのせいで捨てられた。
『この子は呪われた子よ…私の子じゃないわ!』
『どうしてうちの子が…。身寄りのない子を探し、この子と入れ替えよう!』
私は施設で、同じ年頃の子と入れ替えられた。
その子は公爵令嬢として生き、私は孤児として施設で育った。
「アリア・フラン…これで君と結婚ができる。私の婚約者になってくれ!」
!!!!!
去り際に聞こえてきた、アリアという名…それは私の本当の名だった。
入れ替わった私達が、また婚約者の座を入れ替わる…
彼女も私の名を聞いた時、自分の名だと気付いたはずだが、顔色一つ変えなかった…
両親は入れ替わった事を知られないために、彼女を遠くの学校に入れていたはず…
それをカールソン王子が連れてきたのだろう
彼女に聖女の力があるかは分からないが、フラン公爵家は元々聖女の家系だ。
思い出したくない過去を思い出してしまった…
1人の占い師の一言で、今私はひとりぼっちで生きている。
『アリアは呪われています。愛する者の命が次々に失われていく…。ただ…アリアを心から愛する者が現れ、心が通じた時…呪いを消し去る事が出来るでしょう。』
愛する者の命が失われる…
それが、私を捨てた一番の理由だろう。
私が愛すれば命が失われるのに、心が通じることなどありえない…呪いが解けることなどない。
城を後にし、国を出る。
ヒダリヤを出るのに1ヶ月かかった。
追放された聖女の話は国中に広まっていて、すれ違う人や市場の人にも白い目で見られ、食料を手に入れる事さえ困難だった。
ようやくヒダリヤ国を出て隣国に入り、町を探しながら歩いていると、お爺さんが道に倒れていた。
「お爺さん、どうされたのですか?」
リローナはお爺さんを抱き起こし、話しかけるが返事がない。
体調が悪いのだと察したリローナは、癒しの魔法を使い、お爺さんを癒した。
すると、お爺さんは目を覚ました。
「大丈夫ですか?」
「お嬢ちゃんが助けてくれたのかい?ありがとう。」
「無事でよかったです。お家までお送りします。」
お爺さん1人では心配になったリローナは、家まで送ることにした。
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