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最低の女
しおりを挟む「嘘つかないでよッ!!」
嘘つきはあなたでしょ……。
「本当の事よ。セイバン様本人もご存知ないことだけど……。」
「……それはどういう事だ?私には子供が作れない……とは?」
「書斎……セイバン様の書斎は、セイバン様の大切な場所だと聞いたので、嫁いで来てからずっと私が掃除をしているのです。書斎は元々、セイバン様のお父様がお使いになられていた……。掃除をしていた時に、偶然ある手紙を見つけてしまいました。」
その手紙には……
『セイバン この手紙を読んでいるという事は、私はお前に話す事が出来なかったのだな。お前が幼い時に高熱を出したのを覚えているか?そのせいで……お前は子供を作ることが出来なくなった。その事を主治医に口止めし、いつか話さなければと先延ばしにしたまま……結局話す事が出来なくてすまない。』
セイバンは一人っ子で、結婚したら子供を沢山作りたいとずっと言っていた。それがまさか、一人も作れないなどと、伝える事が出来なかったのだ。
「そうか……私には子供が出来ないのか……。」
「それならちょうどいいじゃないですか!あの子はセイバン様の子供にしましょう!」
マリアナはまたまたまたまた、墓穴をほった。
マリアナは空気を読む事も、人の気持ちを考える事も出来ないのね。
マリアナの本命はシューベント。だが地位もお金もなければ、仕事は使用人。そんな彼と結婚は考えられなかったマリアナは、セイバンに近づいた……
セイバンはその頃から令嬢達の憧れの存在だった。令嬢達の繕った会話や自慢話に飽き飽きしていたセイバンに、飾らないマリアナが新鮮にうつり、惹かれていった。
そして三年前からシューベントとセイバンを、同時進行していたマリアナのお腹の中に子が宿った。
すぐにシューベントの子だと分かったが、使用人の子として産むつもりはなく、セイバンの子にしようと考えた。
セイバンの子だと偽ったものの、没落寸前の貧乏侯爵と結婚するつもりはなかった。結婚してしまったら、愛するシューベントにも会えなくなる……そう思ったマリアナは、セイバンを金持ちと結婚させることにした。
自分は金持ちの奥様からお金を搾り取り自由に暮らし、子供は侯爵家を継ぐ……それがマリアナの幸せだった。
キーファに話した後に、ミランダは全てを調べあげていた。 使用人にしておくのは、もったいないくらいだ。
「マリアナ……消えろ!」
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