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20、それぞれの結末
しおりを挟むひとしきり泣いた後、殿下は私を見た。
その眼差しは、今までとは違っていた。
「すまなかった……アシュリー。今日まで、君にしたことがどれほど酷いことだったのか、僕は分かっていなかった。許されるはずがなかったんだな……」
心から謝ってくれているのが分かる。
全てをなかったことには出来ないけれど、少なくとも殿下は子供から成長しようとしている。
「謝罪は受け取ります。ですが、私は生涯殿下を許すことはないでしょう。だから、殿下も生涯悔いてください」
優しい言葉をかけるつもりはない。それだけのことを、彼はしたのだから。
「分かっている。今更遅いというのも……。君は、幸せになるべき人だ。僕はグラインに行くよ」
一週間後、ルーファス殿下はグラインへと出発した。見送ったのは、国王様と王妃様、そしてジェンセン様だけだった。最後のお別れも、私はしなかった。あっけない終わり方だけれど、これでもう苦しむことはなくなった。
「アシュリー様、ジェンセン様がお見えになっています」
あれから一年が経ち、ジェンセン様と平穏な日々を送っている。
ケイトは出産した後、刑が執行され処刑された。十ヶ月近く離宮に軟禁され、話し相手もいなかったケイトは、精神を病んでいた。処刑されることがよほど嬉しかったのか、笑ったまま死んで行った。生まれた子は、罪人の子だと分からないように出生の記録を抹消し、隣国の平民夫婦に養子に出した。子を欲しがっていたから、可愛がってくれている。子供の父親は使用人の一人で、ケイトにすでに殺されていた。あれほど自分勝手に生きたケイトは、最後まで改心することはなかったけれど、子供には幸せになって欲しい。
「ジェンセン様、お仕事は終わったのですか?」
忙しい合間を縫って、毎日何度も会いに来てくれる。
「急いで終わらせた。アシュリーに会いたい気持ちが、私を有能にしてくれているらしい」
彼は最初から優秀な人だ。
ジェンセン様が王太子になってから、国同士のいざこざもなく安定している。ルーファス殿下が留学したグラインとも、友好な関係を築くことが出来、聖女の私は必要ないのではと思えるほどだ。
「ジェンセン様が忙しいことは理解しています。私にもこの子にも、いつでも会えるのですから、無理はなさらないでください」
私のお腹には、新しい命が宿っている。
一年前は、こんなにも幸せになれるなんて思ってもみなかった。
「無理をしたいんだ。この子が生まれたら、君との二人きりの時間は終わってしまう。もちろん、この子が生まれて来る日を心待ちにしているけど、君との時間も大切にしたいんだ」
愛おしそうに私を見つめる目が、少しずつ近付いてくる。彼の唇が私の唇にそっと重なる。
「……この為に、早くお仕事を終わらせたのですか?」
「意地悪だな」
そう言って、また彼の顔が近付いてくる。
END
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貴族と他国に見下される王様が誕生するだけだと思うけど。高貴な血じゃないし。
ツッコミが多かったけれど、それ以外は面白かったです。
感想ありがとうございます。
聖女自体は王族と同じ権限を持っていても、実家は普通の貴族です。謀反の罪を着せられたら、救うことは出来ないという感じですね。
国王と王妃は従ったというよりも、聖女を妻にしたことで味方になった臣下達が多すぎて何も言えなくなったという感じです。私の描写が足りなくてすみません。
ケイトが妊娠して牢から出される←これは、他の国の時代劇であったお話を使わせていただきました。そのお話では、主人公が王子で国を裏切った罪人、その王子の妻が妊娠していた為牢から出し部屋に軟禁されるというお話でした。
ケイトの子が継承権を持てる←こちらも、他の国の時代劇であった別のお話から使わせていただきました。そちらは、罪が発覚する前に生まれていて世継ぎになっていましたが、母と息子は会うことは出来ませんでした。結局、母はまた別の大罪を犯し処刑されましたが、その子は王になりました。2つとも実際あった話を元にしていたので、私的には違和感なく話に使ってしまいました。納得していただけたら嬉しいです。
長くなりましたが、読んでいただきありがとうございます♪
完結㊗🎉🎉🎉お疲れ様でした✨
ケイトの結末が出て来たけど
やはり不義の子だった😱
ありがとうございます( *ˊᵕˋ*)
ケイトは最後までダメダメでした笑
作品完結おめでとうございます&お疲れ様でした。
次回作も楽しみにお待ちしております。
頑張って下さい!
いつもありがとうございます♪
頑張ります( *ˊᵕˋ*)