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私はエルザ
しおりを挟む私はエルザとして生きるために、勉強を始めた。この世界の事や、貴族のこと。マナーなどの知識も身に付けなくちゃ。
これでも私、学年一の秀才だった。
別に勉強が好きなわけじゃなかったけど、私(三倉令衣)にも色々あった。
私が5歳の時にお母さんとお父さんが離婚して、私はお母さんに引き取られた。お母さんは私を育てる為に昼も夜も働いてた。そんなお母さんに楽をさせてあげたくて、手のかからない子になろうと決めた。勉強をしたのだって、奨学金で良い大学に行って良い会社に入って、親孝行したかったからだったのに、もうお母さんに会うことは二度とない。私の代わりに、エルザが親孝行してくれるかな? 私はエルザの両親に親孝行するつもりはサラサラないけどね。
自分の娘を苦しめる親なんて、親じゃない。エルザはずっとひとりぼっちだった。両親も妹もいるのに、その家族にずっと苦しめられてきたなんて可哀想。私はお母さんに沢山愛情をもらったから、今度はエルザが私の代わりに愛されて欲しい。
この世界の事は少しだけど理解出来た。貴族の事も分かってきた。
私がずっと部屋に閉じこもってる間、両親も妹も私の事を気にかける事はなかった。
まあ、シンディを追い出したのは私だから、シンディが来ることはないか。
メイドが頼んでもないのに、部屋に食事を運んでくる。エルザは毎日1人で、部屋でご飯を食べていたということみたい。
コンコン……
「お嬢様、お食事をお持ちしました。」
いつものように、メイドが食事を運んで来た。
「ありがとう。ちょっと聞いてもいい?」
「はい。」
メイドが料理をテーブルに並べながら、返事をする。
「お母様とお父様は、邸に居るの?」
まだ会ったことのない両親。エルザになってから1週間、私はずっと部屋にこもっていた。
その間、一日目にシンディが来て以来、この邸で会ったのはメイドのシュラだけ。
「旦那様と奥様は、シンディ様と食堂でお食事をなさっています。」
やっぱり、私だけのけ者なのね。
じゃあ、挨拶しに行かなきゃ。
「悪いけど、食堂に案内してくれる?」
私はこの部屋でエルザになったから、邸の中は自分の部屋しか分からない。
「案内……ですか?」
シュラは不思議そうに私を見ている。
ここは押し切らないと!
「ほら、ずっと食堂に行ってないから、どこか忘れちゃった! あははっ」
我ながら、苦しいいいわけね。
「そうですか、わかりました。ご案内いたします。」
何とか誤魔化せた?
シュラに案内してもらって、食堂へと向かった。
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