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全員出席の舞踏会
しおりを挟むイワン様は毎日、門番にアネモネの花を預けて帰って行くようになりました。
不思議に思っている事がひとつあります。どうしてイワン様は、私に一目惚れをしたのでしょうか?
前世でも、レナード様は私に一目惚れをした。前世でも今世でも、私の容姿は普通です。
前世の記憶があるとも思えませんし、たとえ記憶を持っていたとしても、前世と顔が全く違う一度も話した事のない私がシュリルだとは分からないはず。
毎日毎日、アネモネの花を持って来るイワン様。
なんだか、私がいじめてるみたいですね……
彼に会うことを避けていた私は、ずっと社交の場に出席していなかったのですが、王城から舞踏会の招待状が届きました。貴族は全員出席との事です。
はあ……また、会わなければならないようです。
イワン様が会いに来るようになってから80日目、今日は舞踏会の日です。
両親と馬車に乗り込み、会場である王城に向かう。
「お父様、どうして今日は、全員出席なのですか? 」
王城で開かれる催しは、基本的に全員出席のようなものでした。それなのに、今回はわざわざ全員出席と明記されていたことが気になりました。
「どうやら、他国の王子が来ているようだ。花嫁探しにでも、来たのかもしれないな。」
他国の王子様ですか……
「まあ、それならルビーにもチャンスはあるかしら?」
「娘を他国に嫁に!? あまり会えなくなるではないか!!」
お父様、お母様、あなた達の娘は、そんなに目立つ存在ではありません。勝手に妄想しないでください。
「もう着きますよ。」
馬車を降り大広間へと入ると、
「ルビー嬢!!」
イワン様が駆け寄って来ました。私の事を待っていたようです。
「もうお会いする事はないと言ったはずです。このような場でも、話しかけないでください。」
それだけ言って、その場を離れようとすると……
「イワン様ぁ! 私と一緒に踊ってください。」
ものすごく甘ったるい声を出しながら、イワン様にまとわりついている女性がいました。
彼女の名前は、ロゼッタ・バークレイ。伯爵令嬢です。何故か私をずっと敵視していたのですが……理由が分かりました。彼女はダリア、前世で私の妹でした。
ダリアは幼い頃から、私の物を何でも欲しがり、私の夫であるレナード様の愛人になって妊娠までした。
記憶が戻る前から、ロゼッタは苦手でした。まさか、ダリアの生まれ変わりだったなんて……
それにしても、出会いたくなかった2人が生まれ変わって、また出会ってしまった。
だけど私は、もう前の弱い私じゃない。
「まあ! イワン様良かったですね! とてもお似合いです!」
この2人が結婚してくれたら、被害者が増えなくていいのですが……
「私に触るな。君に興味などない。1人で踊れ。」
ですよね。
そう上手くはいかないようです。
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