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幸せ
しおりを挟む「ルチア……ごめんなさい。私があんな作戦を考えたばっかりに……」
「奥様が謝る必要はありません。私の為だったのも分かっております。それに少しでも償いが出来た事で、心が軽くなりました。」
ルチアは私とシオン様を庇い、カレンに刺されてしまいました。幸い傷は浅く、命に別状はありませんでした。
「いいや、サンドラは反省しなさい! あれ程危険だと言ったのに、私の言うことを聞かなかったのだからな!」
シオン様は少し不機嫌です。
「すみません……」
返す言葉もありません。
カレンはその場でオルフェ様に取り押さえられ、役所に連行されて行きました。
公爵家への無断侵入、公爵夫人への殺人未遂、ルチアへの傷害。死罪は免れないだろう。
両親はカレンの罪を聞き、2人揃って倒れてしまったようだ。
「両親に会いに行かなくていいのか? 誤解をとけば、また親子に戻れるのでは?」
「私は何も話す気はありません。両親はカレンを信じきっていました。私を恨む事で生きる力になるのなら、それでいいのです。」
「君は優しいな。自分が悪者になる事はないだろうに。君に婚約者になって欲しいと告げた時は、全てに復讐するのだと思っていた。」
「あの時は、そのつもりでした。でも……シオン様に出会った事で、復讐よりも大切なものが出来たのです。シオン様が私の運命を変えてくださいました。」
シオン様との出会いが、私の運命だったのかもしれません。前回は出会わなかった事で、死を迎えてしまった。
カレンの処刑の日、私は処刑場へと行く事が出来なかった。今でも、昔可愛かったカレンの顔が忘れられません。たった1人の妹……カレン、さようなら。
ルチアは退院し、リュード公爵家の使用人として元気に働いてくれています。
シオン様が隣国の国王と話してくれたことで、ダリエル侯爵は奴隷を買った罪で処罰され、ルチアは自由の身になりました。
「奥様、今日はいよいよ……ふふふっ」
ルチアがいやらしそうに笑う。
「も、もう! ルチアったら、そんなに何度も言わなくても分かっているわよ!」
今日からシオン様と、寝室を共にします。
もちろん私は、緊張でガッチガチです。
カレンの事で色々あったから、これからは2人の時間を大切にしようと、シオン様は仰ってくれました。
結婚式や新婚旅行も計画してくれています。
寝室を共にするのは、結婚式の後でもいいのではと提案したのですが、もう待てないと却下されました。
寝室のドアを開き中へ入ると、緊張しまくりで心臓がバクバクです。落ち着こうとベッドに座ると、なんだか眠く……
「…………またお預けか。」
シオンはサンドラをそっと抱き上げ、ベッドに寝かせる。
「まあ、君の寝顔を見ながら横になるのも悪くないな。」
2人の時間は、まだ始まったばかりです。
END
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