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意識不明?

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 「奥様、お食事をお持ちしました。」

 「ルチア、ありがとう。」

 サンドラが倒れ、意識がないという噂は、サンドラが考えた嘘だった。

 「奥様、ありがとうございます。私が疑われないようにしてくださったのですよね。」

 「それもあるけど、これでカレンは自分から手を下しに来ると思うの。意識のない私を、きっとカレンは自分で殺そうとするはず。その時は、カレンを部屋に通してあげてね。」

 「奥様は、お強いですね。私なら、自分を殺そうとした相手に、会いたくはありません。」

 殺そうとした……か。私はカレンの策略で、1度死んでいるから、カレンを怖いなんて思わなかった。むしろ、仕返しする気満々でいたしね。
 前回よりも、カレンの恨みを買っているから、無抵抗な私を殺せるチャンスをムダにはしないはず。これが、最後の決着になる。

 「ルチア、もう死にたいなんて言わないで欲しいの。あなたにも、幸せになる権利はある。ダリエル侯爵の事は、きっとシオン様が何とかしてくださる。だから、ずっとこのお邸で働いてくれないかな?」

 ルチアの目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

 「え、あ、ごめん。お邸を出て行きたかったら、それでもいいのよ? ルチアがしたいようにしてくれていいから!」

 「違います……あんな事をした私を、奥様が受け入れてくれた事が嬉しくて……」

 ルチアはカレンに利用されただけ。
 私はルチアに、幸せになって欲しい。
 消えない傷が、体中に付いていた……どんなに酷い目にあってきたのか……
 
 「この邸にいる皆は、家族だと思ってる。もちろん、ルチアも。何か困った事があったら、相談してね。」

 ルチアは泣きながら頷いていた。
 体だけじゃなく、心にまで深い傷を負っている。少しでも、癒せてあげられたらいいな。

 噂が流れてから3日後、ルチアの休みがやって来た。ルチアはいつも通り、カレンに会いに行く。

 「サンドラが意識不明っていうのは本当? 毒を飲ませたの?」

 「はい。ですが、飲んだ量が少なかったようで、死には至りませんでした。」

 「そう。まあ、いいわ。この方が面白い。今日は、リュード公爵はお出かけになっているわよね?」

 「朝お出かけになり、戻るのは夜だと仰っておりました。」

 「リュード公爵邸に行くわ。こっそり邸に入るから、裏口を開けておきなさい。」

 カレンはそう言うと、準備があるのか、さっさと帰って行った。
 ルチアは言われた通り邸に戻り、裏口の鍵を開けておく。

 「奥様、カレン様がこっそりいらっしゃるようです。」

 カレンはまんまと策にハマってくれました。

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