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カレンの嫌がらせ
しおりを挟むカレンの味方が誰かわからず、疑心暗鬼になっていました。
「サンドラ、何かあったのか?」
シオン様が帰宅なさり、一緒に食事をしているのに、私ったらボーッとしてしまった。
「実は、服にカミソリが仕込まれていたんですが、誰がやったのか考えていたんです。」
シオン様には、何でも話している。
昨日、カレンが来たこともお話ししました。
「カミソリが!? ケガは!? ケガはなかったのか!? 」
「少し切りましたが、大丈夫です。
こんな虐めみたいな嫌がらせで終わるとは思えません。きっとカレンは、いつでも傷付けることが出来ると伝えたかったのでしょう。」
「……許せないな。サンドラに傷を付けるなど、絶対に許せない! ちゃんと医者に診てもらったのか? 」
シオン様は温厚な方だと思っていたのですが、めちゃくちゃ怒っているようです……
「大した事ないので、大丈夫です。
でも、ありがとうございます。」
シオン様が本気で心配して下さってる……
神様、やり直させて下さり、ありがとうございます。誰かに心配してもらえる事が、こんなにも幸せな事なのですね。
「先程言っていた、カミソリを仕込んだというのは、おそらく一番新しいメイドだろう。
この邸の使用人は、ほとんどが父の代から働いてくれている者や、その家族だ。
そのメイドを雇ったのが1年前……ちょうど、カレン嬢からしつこくされていた時期だった。」
そのメイドを雇った理由は、傷だらけで邸の前に倒れていたからだそうです。
メイドの名前は、ルチア。ルチアは両親に捨てられ、1人で生きてきたと言っていたそうですが、休みになると、決まってどこかに行っていたそうで、シオン様はどこか怪しいと思っていたところだったとの事でした。
シオン様のお優しい気持ちを利用するなんて、許せないですね。
「カレンは、シオン様を監視させていたのですね。」
どこまで歪んでいるのでしょうか……
「そのメイドを問いつめ、真実を聞き出そう。」
「お待ちください。メイドの件、私に任せてはいただけませんか?」
「君を平気で傷付けるような人間だぞ? 何をしてくるか分からない。」
「メイドはカレンを慕っているから、従っているわけではないと思います。お金か、脅したのか、どちらにしても、そのメイドをこちらの味方にする事が出来るのではないでしょうか?」
カレンを本気で慕う者がいるとは思えません。
両親はカレンの演技に騙されていますが、他の人達の気持ちは変えられた。
きっと、そのメイドの気持ちも変えられるはずです。
「君は前向きだな。メイドが命を狙ってくるかもしれないのに、怖くはないのか?」
「怖いです。でも、私は一度死んでいますから。
それに、今はシオン様が居てくださるから、強くなれているのかもしれません。」
シオン様が居てくださる事が、私にとってどんなに心強いか。
メイドが休みになる日、尾行してみる事にしました。
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