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本当は…
しおりを挟む今……なんて?
「あの時、もしもあなたという人を知っていたなら、あんな事は絶対に阻止していました。」
「何を……仰っているのですか?」
「私も、時間が巻き戻っていたのです。」
頭が真っ白になりました。
私は呆然としたまま、ただリュード公爵を見つめていた。
「最初は、なぜ1年前に戻っているのか分からず、混乱しました。理由を調べる為に、1年前とは違う行動をとる人を探していたんです。アンドレが私に、カレン嬢の事を聞きに来た事で、あなたの存在に気付きました。
1年前は、サンドラがあの場で婚約を破棄されましたよね?」
……リュード公爵は、全てを知っているんだ。
私が1年後に、死刑になる事も。
「全てを知っていたのに、どうして私と婚約をしたのですか?」
「あなたは私に、本当の事を言ってくれた。
あの時、サンドラを信じる事に決めました。いや……あの時に、私はサンドラに一目惚れをしたのかもしれない。
あなたは、無実だ。」
その時、私の心は救われた。
誰も私を信じてはくれなかったのに、リュード公爵は無実だと言ってくれた。
どうして、やり直す前にリュード公爵に出会えなかったのだろう……
「私は……復讐する為に、リュード公爵を利用しました。」
「先程、かまわないと言ったでしょう?
これからも、利用してください。私は、ずっと、あなたの味方です。」
涙が溢れ出す。
私は、リュード公爵に出会う為に、あの時死んだのかもしれません。
「リュード公爵……」
「私の名は、シオンです。
これから妻になるのだから、リュード公爵はないでしょう?」
「シオン様……もしかしたらまた、同じ結末になるかもしれません。それでも、私と結婚してくださるのですか?」
「絶対にそうはならないと誓うよ。
サンドラは私が守ってみせる。」
不思議ですね。
シオン様が仰ると、絶対大丈夫な気がしてきます。
もちろん、カレンに負けるつもりはありませんが、本性を現したカレンが何をしてくるか分かりません。もしかしたら、直接命を狙ってくる可能性もあります。
「さあ、着いた。行こう。」
「ここは……」
「役所だ。挙式はすぐには出来ないけど、籍は今日入れよう。」
最初のプロポーズの時から思ってましたが、シオン様ってすごい行動力ですね……
「さあ、早く。」
「……はい。」
役所で書類を出し、めでたく結婚いたしました。
って、まだ実感が湧きませんが。
「今日から、私の妻だ。」
婚約から結婚まで、最速でしてしまいました。
「まだ同じ部屋で寝るのは、抵抗があるだろうから、当分は別の部屋を用意する。
だが、私も男だから、長くは待てないよ。」
シオン様の言葉に、顔が一気に熱くなっていた。
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