〖完結〗冤罪で断罪された侯爵令嬢は、やり直しを希望します。

藍川みいな

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さようなら、アンドレ様

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 カレンが本性を現しましたが、私は負けるつもりはありません。
 あなたに破滅させられた人生を、やり直す。
 もう二度と、断罪されたりしない!

 「サンドラ……俺を捨てるのか……?」

 アンドレはまだ諦めきれないようだ。

 よくそんな事が言えますね。
 ずっと私を裏切っていたくせに。
 カレンに騙されたからといって、あなたの罪が消えるわけではありません。

 「アンドレ様、さようなら。」

 もうあなたに関わる事はありません。
 
 「サンドラ……」

 「サンドラ嬢にはもう、近付かないでください。これ以上は、私も黙ってはいません。」

 アンドレはその言葉に、何も言う事が出来なかった。

 リュード公爵が、とても頼もしく見えました。
 私の何を気に入ってくれたのかは分からないけど、 ひとりぼっちじゃない気がした。
 
 「送ります。行きましょう。」

 リュード公爵と共に馬車に乗り込むと、馬車は静かに走り出した。

 本当に綺麗な顔。
 アンドレ様しか見ていなかったから、男性の顔をこんなに近くで見る事はありませんでした。
 令嬢達に人気なのも、カレンが好きだったのも納得です。
 長いまつ毛、白い肌に金色の髪、青い瞳がすごく綺麗で、吸い込まれてしまいそう。
 
 「私の顔に、何か付いていますか?」

 見つめていた事が、バレてしまいました……
 
 「……すみません。とても綺麗なお顔だったので、見惚れてしまいました。」
 
 「それは嬉しいですね。ですが、あなたの方が美しいではないですか。」

 「冗談はやめてください。容姿には自信がありません。妹がとても綺麗なので、いつも比べられていました。」

 お父様もお母様も、カレンの事しか褒めません。アンドレ様にだって、美しいなんて言われた事もない。

 「私は冗談を言いません。サンドラ嬢は、本当に美しいですよ。」

 なんて真っ直ぐ、見つめて来るのでしょう……
 
 「……ありがとうございます。」

 恥ずかしくて、それ以上言葉が出なかった。

 やり直す前には、出会う事がなかった人。
 遠くからお見かけした事しかなかった方が、目の前にいて、私の婚約者になった。
 これでいいのかは分からないけど、少なくとも、リュード公爵から幸せな時間をいただきました。
 ただ、今の私は、誰かを信じる事が出来ません。
 
 すみません、リュード公爵。
 私は復讐の為に、あなたを利用しています。
 
 「残念です。もう着いてしまいましたね。」

 いつの間にか、馬車は邸の前で止まっていた。

 「送っていただき、ありがとうございました。」

 それだけ言い、馬車から降りようとすると

 「待ってください。次は、いつお会い出来ますか?」

 リュード公爵はサンドラの腕を掴み、引き止めていた。

 「リュード公爵の、ご都合のいい日でかまいません。」

 「慌ててしまってすみません。私との婚約が乗り気でないのはわかっています。だから、少しでも私を知ってもらいたいのです。
 明日また、お会いしたいです。」

 リュード公爵は、悪い方ではない……そう思えました。

 「わかりました。明日、またお会いしましょう。」

 「よかった……。では、正午にお迎えにあがります。」

 安心したのか、笑顔で帰っていきました。
 少し、子供のような方ですね。

 リュード公爵と別れ、邸へと入ると

 「サンドラ!! お前は何を考えているんだ!?」

 先に帰っていたようで、玄関でお父様が待っていました。

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