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婚約者!?

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 えっと……何でそうなるのでしょう?

 「リュード公爵は、冗談がお好きなんですね。」

 「冗談でこんな事を言うほど、非常識ではありませんよ。私はサンドラ嬢が、気になったから会いに来ました。話してみて、あなたと結婚したいと思ったのです。真剣に考えてみていただけませんか?」

 全くわけが分かりません。
 やり直す前は、リュード公爵とお話した事すらありませんでした。
 ですが、リュード公爵はカレンの想い人。復讐するなら迷わず婚約ですね。

 「私で良かったら、よろしくお願いします。」

 その様子を、カレンはずっと見ていた。
 自分が狙っていたリュードが、まさか姉のサンドラを選ぶとは思ってもみなかった。

 「許せない……」

 小さくそう呟いた。
 
 そして……

 「本日は、グレンダー侯爵家主催のパーティーへとお越しいただき、ありがとうございます。皆様に発表したい事があります。」

 アンドレ様が壇上へと上がり、挨拶をした後、本題に入りました。

 「私は、サンドラと幼い頃から仲が良く、婚約をしていました。ですが、サンドラの妹、カレンによって、私達の婚約を邪魔された。カレンとの婚約は、破棄する! カレンと結婚するなど、考えられない!」

 「な!? アンドレ様、これはどういう事なのですか!? アンドレ様が、お姉様なんかより、私を愛していると仰ったんじゃないですか!!」

 カレンの慌てている所を見たのは、初めてかもしれません。

 「ふざけるな! お前は俺を騙した! 絶対に許さないからな!」

 私の時とは、だいぶ違う感じになりましたね……
 
 「俺はサンドラともう一度婚約をする!」

 アンドレはカレンを振り払い、サンドラの元へ向かおうとした瞬間

 「悪いが、それはムリだ。」

 リュード公爵はサンドラの前に立ち、言い放った!

 「リュード公爵がなぜそんな事を?」

 「先程、サンドラ嬢は私と婚約をしたからです。まさか、私の婚約者を奪おうとするおつもりですか?」

 ザワザワザワザワ……

 「リュード公爵の婚約者!?」
 「これは面白いな。カレン嬢はずっとリュード公爵を追いかけていたが、相手にされなくてサンドラの婚約者を奪った。その婚約者にも捨てられ、リュード公爵はサンドラと婚約か。」
 「サンドラ嬢の婚約者を奪ったって本当!? 他に好きな人がいたのに、姉の婚約者を奪うなんて、なんて性悪なんでしょう……」

 この人達は、婚約破棄された方が悪いと思っている。私はただ、アンドレ様を信じ、愛していただけなのに、散々酷いことを言われました。
 今回はカレンが悪いけれど、善悪の区別すら出来ない人達です。だから、簡単に騙される。

 「お姉様は私のことが嫌いだから、こんな事をするのですか? リュード公爵は、私の愛する人だとわかっていて……婚約したのですか?」 

 今度は泣き落としをするようです。
 でも、それは逆効果よ。

 「カレン様は、頭がおかしいの?」
 「サンドラ嬢の愛する人を奪っておきながら、今更何を言ってるんだ!?」
 「サンドラ様は、カレン様を思ってアンドレ様を譲ったそうよ。それなのに、サンドラ様を責めるなんて……」

 カレンは皆に白い目で見られ、私の横を通り、会場から出て行く……

 「これで終わりだと、思わないでね。」

 横を通る時、他の人には聞こえないような小声で、カレンは私に宣戦布告した。

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