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リュード公爵
しおりを挟むアンドレ様はすぐにリュード公爵に会い、カレンの事を確かめたようです。
カレンは毎日手紙を送っていたようで、リュード公爵は迷惑していた。
優秀な方ですから、カレンなんかに騙されたりはしないのでしょう。
「クソ! あいつ、ずっと俺を騙していやがった!!」
アンドレ様は、かなり頭に来ているようです。
……あなたもずっと、私を騙していたではないですか。
「お可哀想に……。アンドレ様、すみません。あの子は嘘を平気でついてしまうんです。悪気はないんですよ。だから、悪く思わないでください。」
「君は優しいな。カレンから、いつもサンドラに虐められて、辛すぎると聞いていた。だが、君がカレンを虐めているとは思えない。誤解して、すまなかった。」
そうだと思っていました。
アンドレ様はバカですね。確かに、以前はそんな事をするはずなかった。
でも今は、カレンに復讐しようと思っています。
「サンドラには悪いが、俺はカレンを許す事は出来ない。」
あなたは絶対に許すはずがないことを知っています。私の時は、カレンの作り話でしたが、今回は本当の事。
私がされた事を、カレンがされる番です。
3日後、アンドレ様のお父様、グレンダー侯爵がパーティーを開きました。
時が戻る前、この日私は、皆の前でアンドレ様から婚約を破棄されました。妹に婚約者をとられた令嬢だと噂になり、友達だと思っていた令嬢達も私から離れて行きました。
あの時私は、カレンは何も悪くない……ただ、同じ方を好きになっただけなのだと自分に言い聞かせました。
リュード公爵に相手にされなかったから、優しくしてくれたアンドレ様を好きになったと思っていましたが、アンドレ様の事など、カレンは何とも思っていなかった。
これからあなたは、皆の前で婚約を破棄される。これは自業自得なのだから、仕方ないわよね。
パーティーが始まり、カレンは幸せそうに笑っている。私もあの時、幸せだった事を思い出します。お父様やお母様がどんなに私を嫌っていても、アンドレ様がいてくれたから幸せでした。
もうあの頃の、純粋な私ではないのですね。
「サンドラ嬢。少しお話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「……え? リュード公爵!?」
カレンを見ながら考え事をしていた私は、声をかけられるまで、リュード公爵が近くにいた事に気付きませんでした。
「いきなり声をかけてしまって、申し訳ありません。サンドラ嬢と話がしたいと思ったのですが、ご迷惑でしょうか?」
「いえ、迷惑だなんてとんでもないです。」
リュード公爵がこの場にいる事にも驚きましたが、まさか声をかけてくるとは思いませんでした。
アンドレ様が招待したのでしょうか?
やり直す前は、リュード公爵はパーティーには出席していませんでした。
「なぜ、婚約者だったアンドレを妹さんに譲ったのですか? それが聞きたくて、私はこのパーティーに出席しました。」
そんな事のために、わざわざパーティーに?
リュード公爵は、変わった方なのでしょうか?
「もう一度やり直す事が出来たので、失敗しない選択をしただけです……なんて、冗談です。
アンドレ様がカレンを好きなのが分かっていたので、譲っただけです。」
何となくだけど、嘘が通じない気がしました。
信じるわけがないので、本当の事を少し話してしまいました。
「面白い方ですね。私の婚約者になりませんか?」
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