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国の危機

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 ホーク王子が、魔物退治に名乗りを上げた!

 「ホークよ……やめておきなさい。弱いとはいえ、大聖女の結界を破る程の魔物達だ。死にに行くようなものだぞ!兵を向かわせておけばよい。」

 この人が王様!?魔物達に襲われている民はどうでもいいの!?死にに行くようなものなのに、兵士だけ向かわせようだなんて……。

 「私はまだこの国の王子です!この手で、民を守りたいのです!」

 ホーク王子……やっぱりホーク王子は王になるべきお方です!

 「そうか、それほど言うのであれば行きなさい。」

 王は渋々ながらも許可を出した。ホーク王子は、まるで最後のようにリーアの顔をじっと見つめた後、背を向け歩き出した。

 「お待ちください!私も一緒に行きます!」

 リーアはホーク王子と共に行く決心をしていた。

 「リーア!?君はダメだ!」

 「どうしてですか?私は聖女です。魔物から国を守るのは私の使命でもあります!」

 ホーク王子と再会しなければ、こんな風に思う事はなかった。私はホーク王子と、ホーク王子が大切にしているこの国の民を守りたい!

 「ホーク王子が私を守ってくださるように、私もホーク王子を守りたいのです!」

 リーアを説得するのは無理だと感じたホーク王子は、リーアと共に兵を率いて東方へと向かった。

 大聖女は王の命令で王都だけに結界を張った。自分達だけ助かろうとする王や貴族達に国民の不満は爆発寸前だった。

 リーアとホーク王子達が東方へと向かって3日が過ぎていた。馬車に揺られながら前方を見ると、煙が立ち上っている村や町が見えて来た。

 まだ王都を出てから3日しか経っていないのに……。こんなに近くまで、魔物達が来ているんだ。いくつもの村や町が魔物達に襲われたんだ……。 

 「リーア、大丈夫か?」

 ホーク王子が震えるリーアを心配し、声をかけた。

 私……震えてたんだ……。

 「大丈夫です。これは怖いのではなく、悲しいのです。こんなところまで魔物達が来ているということは、それほど多くの民が犠牲になったということ……。許せません!」

 「君は強いな。幼かったあの頃の君も、今のように勇ましかった。」

 ホーク王子……それは、女としては複雑です。でも今は、心配されるようなか弱い私じゃいられない。

 「昨日のホーク王子にはかないません。今度は私がホーク王子を守ります!」

 「ははっ!頼りにしてますよ、聖女様。」

 そんな話をしているうちに、魔物達に襲撃されている町が見えて来た!

 

 
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