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マリヤのお願い

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 ホーク王子と結婚!?
 マリヤ様の言った言葉が理解できない。平民の私が王子様と結婚だなんて……。マリヤ様は何を考えているの!?

 「マリヤ様…ご冗談はおやめ下さい!」

 「本気でお願いしてるの!」

 マリヤ様の切羽詰まった顔……何か事情があるのかな?

 「……理由をお聞かせ頂けますか?」

 マリヤは自分の部屋へとリーアを連れていき、ソファーに座るよう促した。

 「この国は、聖女が絶対的存在なのは知ってるでしょ?」

 「はい。」

 「モレスト王国は、聖女の国。王族から大聖女が出た場合は、大聖女が女王となる。」 

 ……え?てことは、マリヤ様が大聖女になったら、マリヤ様が女王になるって事!?
 
 「でも……ホーク王子は?ホーク王子はどうなるのですか!?」

 「ホークは、王の唯一の子……私が女王となってしまったら、国から追放されてしまうの。」
 
 「そんな……どうして!?」

 「私がいなければ、ホークは王位を継ぐ者……王位継承権を私が奪ってしまう事になる。ホーク自身は納得しても、周りの者が納得しない。不穏な動きをする者も出てくる……それを防ぐために、この国から追放されてしまう。」

 望んでいなくても周りが動いてしまう……マリヤ様もホーク王子も、自由なんてないんだ。

 「ホークは王にならなければいけないの。幼い頃からずっと、国民の事を思う優しい子だった。あの子なら、この国をもっとよく出来る!」

 「マリヤ様が女王になるのでは?」

 「ホークが王位継承出来る唯一の方法があるの。」

 唯一の方法!?

 「リーア、あなたが大聖女となる事!」

 えっ!?えぇぇぇ!?!?!?!?!?

 「な、何を言ってるのですか!?私が大聖女だなんて……ありえません!!」

 「あなたにはその力がある。幼い頃にホークを救った力……それに、あなたは私より強いと言ったでしょ?」

 そういえば、マリヤ様に初めて会った時に言われた気がする。それに、『私は私の都合で、あなたに本気を出して欲しいだけだから。』あの言葉は、そういう事だったんだ。

 「ホークはずっと、あなたを想っていた。だけど、国を追放されると思ってるから、あなたに想いを告げる事はないわ。あなたが大聖女になれば、ホークはこの国の王になる。無理強いはしない……でも、ホークを知ればきっと好きになるはず。その時は、ホークを守って?」

 マリヤ様の気持ちはわかった。ホーク王子の力になりたいとも思う。だけど、全てが私には思いもよらなかったことで……気持ちがついて行かない。私はどうしたらいいの?

 自分の部屋に戻った後も、考えはまとまらなかった。姉の病気を治すために聖女学院に入りはしたものの、平凡な暮らしを望んでいた。
 ホーク王子と結婚して大聖女になるということは、この国の王妃になるということ。
 
 そもそも私が、大聖女になんてなれるのかな……?




 
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