3 / 23
新たな友達
しおりを挟む「え……?」
マリヤ様の一言に耳を疑った。『力を隠している』その通りだったけど、先生でさえ気づかなかった事に気づいていたということ?
「入ってもいい?…もう入るね。」
マリヤ様は、驚き戸惑っている私の横を通り、部屋に入るとソファーに座った。
「ほら、あなたも早く座りなさいよ。」
なんてマイペースな人だろうと思いつつ、言われた通りソファーに座る。
「で、あなたはどうして力を隠しているの?」
二度目の質問で、冷静に考えられた私は逆に質問をした。
「どうしてそう思うのですか?」
マリヤは不思議そうな顔で、
「だってあなたの…リーアの力は私より強い。リーアを見た瞬間に、負けたって思ったわ。」
「私がマリヤ様よりも?」
確かに試験の度に、落第しない程度の結果しか出さないようにしてきた。目立ちたくなかったし、力が弱いと知れば、ギアル様が婚約を破棄してくれるかもしれないと思っていたから。この事は、親友だと思っていたシアにさえ話さなかった。
だけど、マリヤ様よりも強いだなんてあるはずがない。
「さっきの事だけど、周りであなた達を見ていた人に聞いたの。」
さっきのこと…ギアル様とシアとの事か。
「あなたの力なら、追い出すことなんて出来ないと思うけど?」
「え?」
「明日、1ヶ月に1度の試験があるでしょ。リーアが本気を出して結果を残せば、あの二人にリーアを追い出すことなんて出来ないって事。この学院、辞めたくないんでしょ?」
そっか…そんな方法があったんだ!確かに、この国は聖女が絶対的存在だ。私が聖女として認められたら、たとえ貴族でも手を出せない。…目立つことになっちゃうけど、お姉ちゃんを助けるためにはそれしかない!
「マリヤ様!ありがとうございます!」
「お礼なんていらないわ。私は私の都合で、あなたに本気を出して欲しいだけだから。」
「マリヤ様の都合?」
どういうことだろう?
「その話は、また今度!」
マリヤはそう言うと、特別寮へと帰って行った。
マリヤ様が言ったことは気になるけど、今はそれどころじゃない。この学院に残るためには、明日の試験を全力で受ける。正直、本気で力を使った事がないから、どれくらいの力があるかは自分でも分からない。だけど、絶対この学院に残ってみせる!
リーアは明日のことを考えながら、眠りについた。
そして試験の時間がやって来た。
「あら、まだいたの?さっさと田舎に帰ればいいものを、平民ごときがこの学院にいるなんて虫唾が走る!」
9
お気に入りに追加
1,753
あなたにおすすめの小説
【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」
物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。
★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位
2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位
2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位
2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位
2023/01/08……完結
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
精霊に愛されし侯爵令嬢が、王太子殿下と婚約解消に至るまで〜私の婚約者には想い人がいた〜
水都 ミナト
恋愛
精霊王を信仰する王国で、マナの扱いに長けた侯爵家の娘・ナターシャ。彼女は五歳でレイモンド王太子殿下の婚約者に抜擢された。
だが、レイモンドはアイシャ公爵令嬢と想い合っていた。アイシャはマナの扱いが苦手で王族の婚約者としては相応しくないとされており、叶わない恋であった。
とある事件をきっかけに、ナターシャは二人にある提案を持ち掛けるーーー
これはレイモンドとアイシャ、そしてナターシャがそれぞれの幸せを掴むまでのお話。
※1万字程度のお話です。
※他サイトでも投稿しております。
婚約者に嫌われているようなので離れてみたら、なぜか抗議されました
花々
恋愛
メリアム侯爵家の令嬢クラリッサは、婚約者である公爵家のライアンから蔑まれている。
クラリッサは「お前の目は醜い」というライアンの言葉を鵜呑みにし、いつも前髪で顔を隠しながら過ごしていた。
そんなある日、クラリッサは王家主催のパーティーに参加する。
いつも通りクラリッサをほったらかしてほかの参加者と談笑しているライアンから離れて廊下に出たところ、見知らぬ青年がうずくまっているのを見つける。クラリッサが心配して介抱すると、青年からいたく感謝される。
数日後、クラリッサの元になぜか王家からの使者がやってきて……。
✴︎感想誠にありがとうございます❗️
✴︎(承認不要の方)ご指摘ありがとうございます。第一王子のミスでした💦
✴︎ヒロインの実家は侯爵家です。誤字失礼しました😵
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
【完結】クラーク伯爵令嬢は、卒業パーティーで婚約破棄されるらしい
根古川ゆい
恋愛
自分の婚約破棄が噂になるなんて。
幼い頃から大好きな婚約者マシューを信じたいけれど、素直に信じる事もできないリナティエラは、覚悟を決めてパーティー会場に向かいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる