上 下
15 / 17

国の発展

しおりを挟む

 「うわあああぁぁぁぁッ!!」

 後続を走っていた馬車は、キリト王にあっさりやられ、乗っていた荒くれ者達は地面にゴロゴロと転がった!

 「おい!急げ!追いつかれるぞ!!」

 どんなに馬車が急いだ所で、元騎士の手綱さばきにかなうはずもなく……

 「やめろッ!うわあああぁぁぁぁッ!!」

 馭者をしていた男を引きずり下ろし、キリト王は馬車へと飛びうつり、馬の手綱を引き馬車を止めた!!

 ヒヒィィィン……

 「くそっ!アイツを殺した者にはこの宝石をやるぞ!」

 ジオン王は袋から宝石を取り出し、頭上に掲げた!

 馬車が止まると、金に目が眩んだ荒くれ者数人がキリト王に襲いかかる!

 ズザッッッッッ!!

 キリト王は一撃で、数人の荒くれ者達を倒していた!

 「ひぃッ!!ゆ、許してくれ!わ、私が誰か分かるだろ!?お前の王だ!」

 ジオン王はセリシアを馬車から降ろそうと手を伸ばした……

 「触るな!!!」

 キリト王の怒りのこもった声に、ジオン王はビクッとなり、後ずさりした。

 「私のセリシアに触らないでいただきたい。」

 キリト王はセリシアの縄をとき、強く抱きしめた!

 「守ると誓ったのに、こんな目に合わせてしまってすまない……」

 「……キリト様……こうして守ってくれたじゃないですか。」

 その時、

 ズバッ……!!

 「……セリ……シ……ア……」

 バタ………………

 キリト王を後ろから斬ろうとしたジオン王を、プラストが斬り捨てていた!

 ジオン王は最後にセリシアの名を呼び息絶えた。



 セリシアが攫われた事により、国の警備を考えさせられる。そこで、国民から警備兵を募ることになり、プラストは騎士の爵位を与えられ、最初の貴族となった。

 警備兵は、アーチルが村だった時に住んでいた住人の半数と、スベマナの兵士だった者、兵士になりたい者が集まり、その数は2000を越え、プラストが騎士長になり、アーチル村の住民数十人が騎士となった。



 アーチル王国が誕生してから一年が経ち、国らしくなってきていた。貴族も数十人になり、国の法律も作られた。
 アーチル村があった場所は王都となり、周りには次々に町や村ができ、少しでも国に貢献したいと商売を始め税金を納める者もチラホラ出て来ていた。

 そして聖女協会から届いた二回目の結果も、一位を維持していた。


 「聖女協会の大聖女様が、セリシア様にお会いしたいと訪ねていらっしゃいました。」

 結果発表の為でもなく、協会の聖女……しかも大聖女が訪れたのはアーチルが初めての事だ。



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

精霊に愛されし侯爵令嬢が、王太子殿下と婚約解消に至るまで〜私の婚約者には想い人がいた〜

水都 ミナト
恋愛
精霊王を信仰する王国で、マナの扱いに長けた侯爵家の娘・ナターシャ。彼女は五歳でレイモンド王太子殿下の婚約者に抜擢された。 だが、レイモンドはアイシャ公爵令嬢と想い合っていた。アイシャはマナの扱いが苦手で王族の婚約者としては相応しくないとされており、叶わない恋であった。 とある事件をきっかけに、ナターシャは二人にある提案を持ち掛けるーーー これはレイモンドとアイシャ、そしてナターシャがそれぞれの幸せを掴むまでのお話。 ※1万字程度のお話です。 ※他サイトでも投稿しております。

王太子から愛することはないと言われた侯爵令嬢は、そんなことないわと強気で答える

綾森れん
恋愛
「オリヴィア、君を愛することはない」 結婚初夜、聖女の力を持つオリヴィア・デュレー侯爵令嬢は、カミーユ王太子からそう告げられた。 だがオリヴィアは、 「そんなことないわ」 と強気で答え、カミーユが愛さないと言った原因を調べることにした。 その結果、オリヴィアは思いもかけない事実と、カミーユの深い愛を知るのだった。

婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない

nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?

自分の家も婚約した相手の家も崩壊の危機だと分かったため自分だけ逃げました

麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
ミネルヴァは伯爵家に養女として引き取られていたが、親に虐げられながら育っていた。 侯爵家の息子のレックスと婚約させられているが、レックスの行動を見て侯爵家は本当は危ないのでは?と嫌な予感を抱く。 調べたところレックスの侯爵家は破綻寸前であることがわかった。 そんな人と心中するつもりもないミネルヴァは、婚約解消をしようとするがどうしても許してもらえないため、家と縁を切り自分だけ逃げることにした。

王太子に婚約破棄され奈落に落とされた伯爵令嬢は、実は聖女で聖獣に溺愛され奈落を開拓することになりました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

それでも、私は幸せです~二番目にすらなれない妖精姫の結婚~

柵空いとま
恋愛
家族のために、婚約者である第二王子のために。政治的な理由で選ばれただけだと、ちゃんとわかっている。 大好きな人達に恥をかかせないために、侯爵令嬢シエラは幼い頃からひたすら努力した。六年間も苦手な妃教育、周りからの心無い言葉に耐えた結果、いよいよ来月、婚約者と結婚する……はずだった。そんな彼女を待ち受けたのは他の女性と仲睦まじく歩いている婚約者の姿と一方的な婚約解消。それだけではなく、シエラの新しい嫁ぎ先が既に決まったという事実も告げられた。その相手は、悪名高い隣国の英雄であるが――。 これは、どんなに頑張っても大好きな人の一番目どころか二番目にすらなれなかった少女が自分の「幸せ」の形を見つめ直す物語。 ※他のサイトにも投稿しています

婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。

松ノ木るな
恋愛
 純真無垢な心の侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気と見なして疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。  伴侶と寄り添う心穏やかな人生を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。  あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。  どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。  たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。

婚約破棄された公爵令嬢は本当はその王国にとってなくてはならない存在でしたけど、もう遅いです

神崎 ルナ
恋愛
ロザンナ・ブリオッシュ公爵令嬢は美形揃いの公爵家の中でも比較的地味な部類に入る。茶色の髪にこげ茶の瞳はおとなしめな外見に拍車をかけて見えた。そのせいか、婚約者のこのトレント王国の王太子クルクスル殿下には最初から塩対応されていた。 そんな折り、王太子に近付く女性がいるという。 アリサ・タンザイト子爵令嬢は、貴族令嬢とは思えないほどその親しみやすさで王太子の心を捕らえてしまったようなのだ。 仲がよさげな二人の様子を見たロザンナは少しばかり不安を感じたが。 (まさか、ね) だが、その不安は的中し、ロザンナは王太子に婚約破棄を告げられてしまう。 ――実は、婚約破棄され追放された地味な令嬢はとても重要な役目をになっていたのに。 (※誤字報告ありがとうございます)

処理中です...