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真実は…

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 スチュワート様と離婚した翌日、私は何もする気が起きなくて、庭で花をぼーっと眺めていました。

 「お嬢様、お客様がお見えです。」

 「お客様……?」

 誰だろう? ロナルド様は、午後にいらっしゃると言っていましたし。もしかして、スチュワート様!?

 そう思った私は、お客様が誰かも聞かずに走り出していた。だが、そこに立っていたのは、見た事もない女性だった。

 「初めましてぇ。スチュワート様と契約結婚をしていた、マリアンヌ様ですよね。私はモニカ・エブリイ。スチュワート様の事で、お話したい事があります。」

 彼女を見た瞬間、彼女がスチュワート様の愛している人だと分かった。地味な私とは違って、とても綺麗な人。スチュワート様は、昔から綺麗な人が好きだった。

 「立ち話もなんですから、お邸に入れてくださいよぉ。」

 「あ……そうですね。天気も良いですし、庭の方へどうぞ。」

 フリードにお茶の用意を頼むと、庭に案内し、庭にあるテーブルのイスに座るように言う。

 「どうぞ、お座りになってください。」

 そこへ、フリードがお茶を運んで来て、カップへと注ぐ。フリードがお茶を注ぎ終えると、モニカはお茶を一口飲んでから話し出した。

 「マリアンヌ様は、どうしてスチュワート様が契約結婚をしたかったのか、知っていますかあ? 」

 「それは、お父様の為ですよね。」

 「違いますう。やっぱり知らなかったんですねぇ。」

 違うって……どういう事でしょうか? 

 「スチュワート様が爵位と財産を継ぐ条件が、結婚だったんですよぉ。マリアンヌ様のお父様が借金を作ったと聞いて、急いで契約結婚を持ちかけたんですよぉ。スチュワート様は、早くお父様に死んで欲しかったんですよぉ!」

 モニカさんは、何を……? どうしてこんな話を、わざわざ私にするのでしょうか?

 「どうして条件なんて?」

 「スチュワート様は、出来損ないだったからですよぉ。女遊びが激しくて、旦那がいる女を旦那から奪うことが大好きだったんですぅ。そんな息子に手をやいていたから、結婚が条件になったみたいですよぉ。結婚しなければ、死ぬ前に全てを捨てると言われたと言ってましたあ。」

 「そんなこと……信じられません! スチュワート様は、病気のお父様の為に結婚したかっただけです! そんな作り話をしにいらしたのですか?」
 
 「マリアンヌ様は、お人好しなんだねぇ。あんな男を信じてたらバカを見るよ。あんたの気持ち分かってて利用したんだから。あの男は、『あいつは絶対に、俺からの申し出を断らない。俺に惚れているからな。』そう言ってましたあ。」

 どうして見ず知らずのモニカさんが知っているの? 必死に隠してきた気持ちなのに……。
 
 「あ! それと、昔マリアンヌ様を助けたのは、スチュワート様じゃないですよ! 勘違いで俺に惚れたバカ女だって言ってましたからあ。」

 もう何がなんだか分からなくなっていた。私はスチュワート様を信じている。だけど、誰も知らないはずの事を、何故かモニカさんが知っている。
 それに、昔のことまでも……

 「それ以上話したら許さないぞ!!」

 怒りに満ちた声が、後ろから聞こえて来た。

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