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報い

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 「私達、同盟を組んだんです! もう逃がしませんよ! 」

 「な、な、なんだ!? お前達は!?」

  どうやら愛人達は、ここにライナスが戻って来るのではと、ずっと邸を見張っていたようです。


 ライナス様は抵抗虚しく愛人達に捕まり、ロープで縛られ、連れて行かれました。

 「私のライナス様を返せー!!」

 その後をロクサーヌが追っていきました。

 「……通報しなくてもいいのでしょうか?」

 なんか、すごいものを見た気がします。

 「いいんじゃないか? 自業自得だし。」
 
 「不思議なんですけど、どうしてライナス様はあんなに愛人に愛されるほどモテたのでしょう?」

 結婚していた私が言うのもなんですが、ライナス様にそれほど魅力があるとは思えません。

 「これは推測だけど、ライナスは愛人を覚えていなかったから、愛人を君だと思い込んで愛していたんじゃないかな? 深く愛されたと勘違いして、ライナスを本気で愛してしまったってとこかな?」

 「それは……怖いですね。」
 



 あれから、ライナス様を見かけることはありませんでした。あのまま愛人達に、監禁されているのでしょうか?
 ロクサーヌは、ライナス様をずっと探しているという噂です。どうやら愛人同盟には、入れてもらえなかったようです。



 「ライナス様、今日は私が一緒に寝ますからね。」

 ライナスは、街の外れにある小さな家に監禁されていた。愛人達がお金を出し合い、ライナスを監禁する為に、借りた家だ。手足はベッドに鎖で繋がれ、ほとんどベッドから動く事は出来ない。 愛人達は一人一人、日替わりでその家に泊まっていた。

 「もう、解放してくれ……
 レイチェルの元に行かなくては……」

 「絶対に逃がしませんよ。やっと私達のものになったんですから。レイチェル様は、ライナス様なんて忘れて幸せそうでした。大丈夫ですよ、私達がずっと側にいますから。」

 「レイチェル……」

 
 半年後、ライナスを監禁していた愛人達は捕まった。ライナスは意識はあるものの、話しかけても反応せず、精神が壊れてしまったようだ。
 コーエン侯爵は息子を引き取らず、施設へと入れた。だが、施設からライナスの姿は忽然と消えた。

 「ライナス様、やっと見つけました。これからは、ずーっと一緒ですよ。」
 
 人形のようになってしまった ライナスに寄り添うロクサーヌはライナスに毒を飲ませた。
 
 「私達は、地獄で一緒です。」

 ロクサーヌも毒を飲み、ライナスと共に永遠の眠りについた。


 

 マリーはあのお茶会の後すぐに、女好きで有名なドリアード伯爵の後妻になりました。

 「嫌よ! 結婚なんかしないわ! 私はライナス様しか愛せない!」

 マリーは抵抗したが、お茶会の発言からマリーを妻にしてくれるのはドリアード伯爵しかいなかった為、グリーン侯爵は無理矢理嫁がせた。

 「どうして私がこんな老人の妻に……」

 可愛げのない発言ばかりするマリーに、ドリアード伯爵は激怒した。

 「お前のような小汚い女を妻にしてやっただけ、ありがたいと思え! お前を妻として扱うのはやめる。邸の掃除をしろ! 働かなければ、食事をとることは許さん!」

 毎日毎日、クタクタになるまで働かされ、夜の営みは愛情など一切なく道具のように扱われた。
 
 
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