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愛人は何人?

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 「レイチェル!!」

 ライナス様はマリーを無視して、私の元に駆け寄って来ました。

 「ライナス様……私に話しかけないでください。」

 マリーがものすごい顔で、私を睨んでます。
 マリーに相談していたのは、私が離婚する前まででした。だから、離婚してから愛人が何人も邸に押しかけてきた事は話していません。

 「君に会うためにここに来たのに、話しかけないわけがないだろう?」

 離婚したのに、今更私になんの用があるのでしょうか?

 「ライナス様、会いたかったです! もう独身なのですから、レイチェルに気を使うことなんてありませんよ! あちらで一緒にお茶をいただきましょう。」

 「……誰だお前?」

 「え……?」

 マリーは目を見開いたまま固まった。

 あれ? マリーは愛人ではなかったのでしょうか?
 
 「あの、えっと……私達、3ヶ月前から愛し合っていたではないですか!」

 あらら……
 すでに離婚しているとはいえ、嫁入り前の令嬢が愛人関係にあった事を認めちゃうんですね。
 マリーの取り巻きみたいな令嬢達も、さすがにドン引きしているみたいです。

 「お前など知らん。」

 普通なら、なんて奴!! って思うところですが、今のはスッキリしました。

 「し、知らないはず……」

 ライナス様しか見えていなかったマリーは、周りの目に気付き、顔を真っ赤にした。

 「3ヶ月前からって……」
 「マリー嬢は令嬢失格だな。」
 「マリー様はそんなことを? レイチェル様とは親友なのだとばかり思っていたわ。最低ね。」
 
 「マリー様はレイチェル様からライナス様を奪ったと私達に自慢していたのに、なんて惨めなんでしょう……」
 「ただの淫乱じゃない。気持ち悪いわ。」
 「レイチェル様、お可哀想。」
 
 取り巻き達も、マリーを見捨てたようです。
 現金な方達ですね。さっきまで私を、汚いものを見るような目で見ていたのに、その視線を今度はマリーに向けています。

 「レイチェル、俺は君に会いたくてここに来たんだ!」

 ……ライナス様を忘れていました。

 「私はライナス様に、お会いしたくありませんでした。ですが一つだけ、ライナス様にお聞きしたい事があります。」

 「なんだ? なんでも聞いてくれ!」

 「愛人は何人いらっしゃったんですか?」

 「あ、愛人!? そんなものはいない!」

 なぜお認めにならないのでしょう?
 
 「私達はもう離婚しているのですから、正直に仰ってください。愛人がいたからと、今更慰謝料を請求したりはしません。ただ毎日毎日、ライナス様の愛人という方が邸へ押しかけてくるので迷惑です。人数くらい把握しておきたいのです。」

 「ライナス様……私の他にも、女がいたのですか!?」

 マリーはまだ諦めていないようです。

 「お前は誰なんだ? 
 俺が愛しているのは、レイチェルだけだ! レイチェルが好きすぎて、手を触れようとすると緊張して出来なかったんだ! 愛してるからこそ、抱けなかった……」

 はあ、そうですか。で?

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