〖完結〗愛人が離婚しろと乗り込んで来たのですが、私達はもう離婚していますよ?

藍川みいな

文字の大きさ
上 下
3 / 8

愛人は何人?

しおりを挟む

 「レイチェル!!」

 ライナス様はマリーを無視して、私の元に駆け寄って来ました。

 「ライナス様……私に話しかけないでください。」

 マリーがものすごい顔で、私を睨んでます。
 マリーに相談していたのは、私が離婚する前まででした。だから、離婚してから愛人が何人も邸に押しかけてきた事は話していません。

 「君に会うためにここに来たのに、話しかけないわけがないだろう?」

 離婚したのに、今更私になんの用があるのでしょうか?

 「ライナス様、会いたかったです! もう独身なのですから、レイチェルに気を使うことなんてありませんよ! あちらで一緒にお茶をいただきましょう。」

 「……誰だお前?」

 「え……?」

 マリーは目を見開いたまま固まった。

 あれ? マリーは愛人ではなかったのでしょうか?
 
 「あの、えっと……私達、3ヶ月前から愛し合っていたではないですか!」

 あらら……
 すでに離婚しているとはいえ、嫁入り前の令嬢が愛人関係にあった事を認めちゃうんですね。
 マリーの取り巻きみたいな令嬢達も、さすがにドン引きしているみたいです。

 「お前など知らん。」

 普通なら、なんて奴!! って思うところですが、今のはスッキリしました。

 「し、知らないはず……」

 ライナス様しか見えていなかったマリーは、周りの目に気付き、顔を真っ赤にした。

 「3ヶ月前からって……」
 「マリー嬢は令嬢失格だな。」
 「マリー様はそんなことを? レイチェル様とは親友なのだとばかり思っていたわ。最低ね。」
 
 「マリー様はレイチェル様からライナス様を奪ったと私達に自慢していたのに、なんて惨めなんでしょう……」
 「ただの淫乱じゃない。気持ち悪いわ。」
 「レイチェル様、お可哀想。」
 
 取り巻き達も、マリーを見捨てたようです。
 現金な方達ですね。さっきまで私を、汚いものを見るような目で見ていたのに、その視線を今度はマリーに向けています。

 「レイチェル、俺は君に会いたくてここに来たんだ!」

 ……ライナス様を忘れていました。

 「私はライナス様に、お会いしたくありませんでした。ですが一つだけ、ライナス様にお聞きしたい事があります。」

 「なんだ? なんでも聞いてくれ!」

 「愛人は何人いらっしゃったんですか?」

 「あ、愛人!? そんなものはいない!」

 なぜお認めにならないのでしょう?
 
 「私達はもう離婚しているのですから、正直に仰ってください。愛人がいたからと、今更慰謝料を請求したりはしません。ただ毎日毎日、ライナス様の愛人という方が邸へ押しかけてくるので迷惑です。人数くらい把握しておきたいのです。」

 「ライナス様……私の他にも、女がいたのですか!?」

 マリーはまだ諦めていないようです。

 「お前は誰なんだ? 
 俺が愛しているのは、レイチェルだけだ! レイチェルが好きすぎて、手を触れようとすると緊張して出来なかったんだ! 愛してるからこそ、抱けなかった……」

 はあ、そうですか。で?

しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

王太子殿下に婚約者がいるのはご存知ですか?

通木遼平
恋愛
フォルトマジア王国の王立学院で卒業を祝う夜会に、マレクは卒業する姉のエスコートのため参加をしていた。そこに来賓であるはずの王太子が平民の卒業生をエスコートして現れた。 王太子には婚約者がいるにも関わらず、彼の在学時から二人の関係は噂されていた。 周囲のざわめきをよそに何事もなく夜会をはじめようとする王太子の前に数名の令嬢たちが進み出て――。 ※以前他のサイトで掲載していた作品です

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

3歳児にも劣る淑女(笑)

章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。 男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。 その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。 カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^) ほんの思い付きの1場面的な小噺。 王女以外の固有名詞を無くしました。 元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。 創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。

婚約破棄ですか? では、この家から出て行ってください

八代奏多
恋愛
 伯爵令嬢で次期伯爵になることが決まっているイルシア・グレイヴは、自らが主催したパーティーで婚約破棄を告げられてしまった。  元、婚約者の子爵令息アドルフハークスはイルシアの行動を責め、しまいには家から出て行けと言うが……。  出ていくのは、貴方の方ですわよ? ※カクヨム様でも公開しております。

強欲な妹が姉の全てを奪おうと思ったら全てを失った話

桃瀬さら
恋愛
幼い頃、母が言った。 「よく見ていなさい。将来、全て貴方の物になるのよ」 母の言葉は本当だった。姉の周りから人はいなくなり、みんな私に優しくしてくれる。 何不自由ない生活、宝石、ドレスを手に入れた。惨めな姉に残ったのは婚約者だけ。 私は姉の全てを奪いたかった。 それなのに、どうして私はこんな目にあっているの? 姉の全てを奪うつもりが全てを失った妹の話。

【完結】義妹に婚約者を取られてしまい、婚約を解消することに……傷心の私はお母様の国に亡命することに致します。二度と戻りませんので悪しからず。

つくも茄子
恋愛
公爵令嬢のマリアンヌは婚約者である王太子殿下から婚約解消を言い渡されてしまった。 マリアンヌの義妹リリーと恋仲になったせいで。 父と再婚した義母の連れ子であるリリーは、公爵家の養女でもある。つまり、実子並みの権利を持っているのだ。そのため、王家と公爵家との縁組を考えればどちらの令嬢と結婚しても同じこと。 元婚約者がいては何かと都合が悪いからと、マリアンヌは自ら母国を去る。行先は、亡き実母の祖国。祖父や伯父たちはマリアンヌの移住を喜んで受け入れる。 彼女を皇女に!と思うも、本人に拒否されてしまい、仕方なく「女公爵」に。 マリアンヌとしては小国の公爵令嬢が、大国の皇女殿下になる訳にはいかなかった。優しい伯父たち(大国の王族)のため、「女公爵」として、新しい母国のために奮闘してゆく。王太子妃としての教育がこのような形で活かされていく。 一方、元婚約者の王太子殿下には暗雲が立ち込めていた。 彼は王太子位を剥奪され一介の王子になっていたのだ。妻のリリーは、妃として落第点を押される程の不出来さ。 リリーは高位貴族の教育さえ受けていなかったことを元婚約者は知らなかったよう。彼女の母親は下位貴族出身。当然、その娘であるリリーも下位貴族の教育しか受けていない。 内政も外交も上手くいかない。 経済さえも危うくなってきた。 彼らの未来はどうなるのか??? 他サイトにも公開中。

婚約破棄しようがない

白羽鳥(扇つくも)
恋愛
「アンリエット、貴様との婚約を破棄する!私はリジョーヌとの愛を貫く!」 卒業式典のパーティーでばかでかい声を上げ、一人の男爵令嬢を抱き寄せるのは、信じたくはないがこの国の第一王子。 「あっそうですか、どうぞご自由に。と言うかわたくしたち、最初から婚約してませんけど」 そもそも婚約自体成立しないんですけどね… 勘違い系婚約破棄ものです。このパターンはまだなかったはず。 ※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載。

新妻よりも幼馴染の居候を優先するって、嘗めてます?

章槻雅希
恋愛
よくある幼馴染の居候令嬢とそれに甘い夫、それに悩む新妻のオムニバス。 何事にも幼馴染を優先する夫にブチ切れた妻は反撃する。 パターンA:そもそも婚約が成り立たなくなる パターンB:幼馴染居候ざまぁ、旦那は改心して一応ハッピーエンド パターンC:旦那ざまぁ、幼馴染居候改心で女性陣ハッピーエンド なお、反撃前の幼馴染エピソードはこれまでに読んだ複数の他作者様方の作品に影響を受けたテンプレ的展開となっています。※パターンBは他作者様の作品にあまりに似ているため修正しました。 数々の幼馴染居候の話を読んで、イラついて書いてしまった。2時間クオリティ。 面白いんですけどね! 面白いから幼馴染や夫にイライラしてしまうわけだし! ざまぁが待ちきれないので書いてしまいました(;^_^A 『小説家になろう』『アルファポリス』『pixiv』に重複投稿。

処理中です...