〖完結〗愛人が離婚しろと乗り込んで来たのですが、私達はもう離婚していますよ?

藍川みいな

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ライナス様も来ました

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 今日も門の前が騒がしい……
 そう思っていたら、今日は愛人ではなくライナス様がやって来ました。

 「レイチェル! 中に入れてくれ! もう一度話をしよう!」

 話す事などあるわけがないじゃないですか。子が作れないと思っていたライナス様には、愛人が何人もいた。あんなに女性が好きなくせに、私の事は一度も抱かなかった。顔も見たくありません。

 執事を通して門番に、絶対にライナス様を中に入れないように指示し、裏口から邸を出てお茶会に出掛けました。

 今日のお茶会は親友マリーのお父様、グリーン侯爵が主催なので出席する事にしました。
 マリーはライナス様との事を、ずっと相談に乗ってくれていました。
 私はあまり社交的な方ではないので、友達があまりいません。人気者のマリーが、友達になりましょうと言ってくれた時、本当に嬉しかった。
 

 「レイチェル! 来てくれたのね!」

 「当たり前じゃない。マリーに会えるし、楽しみにしていたわ。」

 「みんなに紹介するから、一緒に来て!」

 マリーはレイチェルの手を引き、令嬢が集まっている所で足を止めた。

 「みんな、紹介するわね。レイチェルよ。」

 「まあ、あなたが……」
 「レイチェル様……ですか……」
 「よ、よろしくお願いします。」

 この反応は、何なのでしょう?
 この方達とは初対面なのですが、私を知っているような……しかも私、嫌われてますね。

 「みんなそんなに態度に出したらダメじゃない! レイチェルが可哀想よ!」

 この違和感は何?
 マリーの言い方、なんだかいつもと違う。

 「そうそう、レイチェルを一度も抱かなかったライナス様も、ご招待してるの!
 そろそろ来る頃だと思うんだけど……」

 これは完全に、私をバカにしてるようです。
 しかも、ライナス様を招待したですって!?
 ここに居るのは、本当にあの優しかったマリーなの!?
 わけがわからず、マリーの顔を見ると……

 「ジロジロ見ないでくれる? 気色悪い。旦那様に抱いてもらえなかった魅力ゼロの奥様。
 あ、もう奥様じゃないか! ふふふッ!」

 どうしてマリーは、こんなに豹変してしまったのでしょう? ……違う、マリーは最初から私を騙していたんだ。

 「ライナス様!! いらしてくださったんですね!」

 マリーのこの喜びようで、分かりました。マリーもライナス様の愛人だったようです。


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