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押し付けられた婚約者
しおりを挟む「ねぇお姉様、私のかわりにディラン様の婚約者になってくれない?」
そう言われるんじゃないかと思ってた。
「そうね!セシディのかわりにジェシカが婚約者になればいいのよ!」
「そうだな!同じ顔なんだし、問題ないだろ!」
問題は大ありですよ、お父様……。でもどうせ、私に拒否する事など出来ない。
モンドリア侯爵家の双子の姉として生まれたジェシカは、いつも双子の妹セシディと比べられていた。
優秀で何でもそつなくこなすセシディと、何をやってもダメなジェシカ……両親はセシディばかりを可愛がり、まるでジェシカはいないみたいに扱ってきた。
そんなある日、国王から第一王子ディランとセシディの婚約を提案された。
普通なら第一王子との婚約は嬉しい事だが……ディラン王子に王位継承権はなく、しかも容姿がものすごく醜かった。
だが国王からの申し出を断ることも出来ず、モンドリア侯爵は、その提案を受けいれた。
そして今、私はその婚約者を押し付けられた。
容姿が醜くても、私は気にしない。ただ、王様が望んだのはセシディであって私じゃない……嘘をつかなければいけないのが苦痛だ。
婚約者を押し付けられたジェシカは、いよいよディランに嫁ぐことに……。
ディランにはまだ一度も会ったことないがない。
王子だというのに結婚式も行わず、ディラン王子が住む辺境の地の邸に住むことになった。
邸へと案内されたジェシカは、あまりに寂しい辺境の地に驚愕した。
邸の中に入ると、使用人は執事のピート一人だけ……。つまり、この広い邸にはディラン王子とジェシカ、そしてピートの三人だけという事だ。
どうしてディラン様は王子様なのに、こんな扱いを受けているんだろう?
もしかしたら、ディラン様も私と同じなのかもしれない。王様にも王妃様にも愛されていないなら、私が沢山愛して差し上げたいです。
ピートに自分の部屋へと案内されたジェシカは、早速ディラン王子に会いたいと伝えた。
「申し訳ありませんが、ディラン様がセシディ様とお会いになる事はありません。」
え……?今なんて?
「あの……私は、ディラン様に嫁いだのですよね? どうして会えないのですか?」
妻なのに会えないって、どういう事だろう?
「ディラン様は、どなたともお会いになりません。セシディ様がどんな生活をなさろうと構いませんが、ディラン様にお会いしようとは思わないでください。」
夫に会ってはいけないって……じゃあ私は、どうすればいいの?
結婚初日……ジェシカは途方に暮れた。
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