〖完結〗私は旦那様には必要ないようですので国へ帰ります。

私は戻りません！

 ハニラは急に変わってしまったセバスに困惑していた。あまりの変わりように、出て行くしかなかった。

 そこへ、王都から早馬が到着した！

 「セバス様、陛下からの手紙です！」

 「陛下から!?」

 セバスは急いで手紙を読み始めた。

 「援軍を出せとは……どういう事だ!?援軍が欲しいのはこっちだ！！」

 その手紙には、あちこちで魔物の大群が町や村を襲っているため、援軍を送れと書いてあった。

 ミーシャがいなくなり、ゴースティンは国全土を魔物に襲撃されていた。

 今までゴースティンが平和だったのは、ミーシャが国全体に結界を張っていたからだった。
 三年前までは、何とか兵の力でゴースティンを守る事が出来ていたのだが、魔物の力が日に日に増していき、兵の力ではどうにもならなくなってきていた。
 サンディはその事を分かっていて、聖女のミーシャをセバスの結婚相手に選んだ。

 サンディも最初から聖女を信じていたわけではない。魔物に襲われているところをミーシャに助けられ、聖女がどれだけ強力なのかを知った。




 幸せを感じていたミーシャの元に、セバスが送った兵士が到着していた。

 「ミーシャ様！！セバス様から連れ戻すよう命をうけました！一緒に来てください！！」

 ミーシャの家を、ノックもせずにいきなり入って来た兵士……

 「申し訳ありませんが、私は帰りません。お引き取りください。」

 もちろん、ミーシャは帰るつもりなどない。

 「そうはいきません！一緒に来ていただきます！」

 兵士は無理矢理ミーシャの腕を掴み、連れていこうとする……
 
 「待て！」

 そこに現れたのは、サム、サブリナ、そして町の人達だった。

 「な、なんだお前らは！！」

 サムは兵士の手からミーシャを取り返すと、町の人達はいっせいに兵士を取り囲んだ！

 「ミーシャちゃんを無理矢理連れていこうだなんて、この悪党が！！」

 「帰れ！そして二度と来るな！！」

 町の人達は団結して、兵士を追い払った。


 「みんな……ありがとう……」

 涙を浮かべるミーシャに、

 「ミーシャちゃんは、貴族に嫁いで苦労したんだね。」

 「また連れ戻しに来ても、みんなで追い払ってやるから安心するんだよ！」

 みんな……本当にありがとう。

 セバス様、私は絶対に戻りません。ご自分でどうにかしてください。