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国へ帰ります
しおりを挟む「破滅だなんて……セバス様、こわぁい。」
……バカは認めるんだ。
「お前!!今まで贅沢させてやったのに、その言い草はなんだ!!」
贅沢させてもらった覚えなんてありません。セバス様は、私が何をしてたのかさえ、知らないでしょうね。
「もう話すこともないので、失礼します。」
「容姿も中身も醜い奴だな!ハニラ、今日から本邸に住め!」
あなたの容姿も、人のこと言えませんよ。
「本当ですか!?セバス様、私幸せですぅ!」
ミーシャは、この邸に嫁いで来た時に持ってきたものだけを持ち、邸から出て行った。
お義父様も、私も居なくなった今、セバス様にこの地を守る事は出来ない。それも分からない程の無能だから、お義父様は私に頭を下げてまで結婚させた。
私を引き止める為だと分かってはいましたけど、お義父様には良くしていただきました。
その分は、お義父様が亡くなってからの二年間でお返し出来たと思います。
これからは国に帰り、自由に暮らしたいと思います。
ミーシャには家族は既にいなかったが、生まれ育った町に帰りたいとずっと思っていた。
ミーシャは振り返ることなく、邸をあとにした。
町から出ている馬車に乗り、ゴースティンから南の国ホーティスへと向かう。
この国に来て幸せだった事も、ゆっくり出来たこともなかった。ずっと気を張ったまま、結界を張り続けていたから……。
サンディが生きていた時は、サンディを慕いついて行く兵士が沢山いて、国を守ることが出来ていた。
サンディが亡くなり、兵士の数は半分以下になったが、ミーシャの結界のおかげでこの地は平和だった。
元々この国は、国境を守る領主の軍の力で平和が保たれていた。だが、年々魔物の力が増していき、兵士だけでは国を守る事が困難になって来ていた。
それでもゴースティン王は、聖女の力に頼る事を許さなかった。聖女の力を信じていなかったのだ。
聖女に守られていた事を、ゴースティン王は知らなかった。
ミーシャがこの国を出た瞬間、結界が消滅する。
馬車は今、ゴースティンを出た。
「さよなら……。」
ミーシャの声は風にかき消された。
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