上 下
2 / 7

愛する事は罪?

しおりを挟む

 私達は、お父様達が用意してくれた邸に住むことになりました。新婚なのだから、親がいない方がいいだろう? との理由でした。
 ウォルシュ様とイチャイチャする事はないので、違う意味で、助かったのかもしれません。

 「寝室は別にしよう。週に一度、子を作る為に一緒に寝る事。それ以外は、何をしていてもかまわない。」

 週に一度は、一緒に眠れるのですね。……待って! 好きな人に抱かれるのに、好きじゃないフリって、どうすればいいのでしょうか!?
 初めての経験なのですから、分かるわけがありません!! これは、流れに任せるしかなさそうですね。

 「分かりました。食事は、どうなさいますか? 一人で食事をした事がないので、出来ればご一緒していただきたいのですが……」

 本当は一人でも食事をするのは平気ですが、少しでも一緒に過ごす時間を増やしたかった。
 
 「食事は、一緒にとることにしよう。パーティーなどの集まりは、なるべく出席してくれ。」

 ただの共同生活みたいなルールを決めていく。それでも、これから好きな人と一緒に暮らすのだから、私の心は弾んでいました。ですが……時間が経つにつれ、私の想いは日に日に募っていきました。そして、初めて一緒に過ごす『子を作る時間』がやって来ました。

 一週間、食事以外では一緒に過ごす時間はほとんどありませんでした。食事中もほとんど会話をすることはなく、黙々と食べるウォルシュ様。
 会話したくても、私の気持ちがバレてしまいそうで、私も黙々と食事をしていました。
 会話がなくても、ウォルシュ様とする食事は、私には幸せな時間で……ウォルシュ様の顔を見ただけで赤くなってしまう。最近では、赤くなった事を知られないように、顔を隠すのが癖になっているようです。
 そんな私が、ウォルシュ様との夜の営みを無事に終える事は出来るのでしょうか……

 「緊張しているのか?」
 
 寝室のベッドに横たわり、ガチガチに固まっている私をウォルシュ様が覆いかぶさりながら見下ろす。

 「……申し訳ありません。初めての事で、どうしたらいいのか……」
 
 初めてだということもあるけど、大好きな人にこんな近くで見つめられていることに、私の心臓は破裂してしまうのではと思うほど、ドキドキしています。

 「…………すまない。」

 え……? どうして謝るのでしょう?
 疑問が頭に浮かんだ瞬間、ウォルシュ様は私の口を唇で塞ぎました。
 ウォルシュ様との初めての夜は、甘くて切ない……愛し合うためではなく、子供を作るためだけの行為。こんなにも愛する人が近くにいるのに、気持ちを伝える事さえ出来ないなんて……
 胸の痛みがまた大きくなり、同時に、ウォルシュ様への想いが強くなりました。
 愛する事は罪なのでしょうか? ウォルシュ様のそばに居るためには、気持ちを悟られてはいけない。絶対に……

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

あのひとのいちばん大切なひと

キムラましゅろう
恋愛
あのひとはわたしの大切なひと。 でも、あのひとにはわたしではない大切なひとがいる。 それでもいい。 あのひとの側にいられるなら。 あのひとの役にたてるなら。 でもそれも、もうすぐおしまい。 恋人を失ったアベルのために奮闘したリタ。 その恋人がアベルの元へ戻ると知り、リタは離れる決意をする。 一話完結の読み切りです。 読み切りゆえにいつも以上にご都合主義です。 誤字脱字ごめんなさい!最初に謝っておきます。 小説家になろうさんにも時差投稿します。

(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。 なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと? 婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。 ※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。 ※ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※元サヤはありません。

新しい人生を貴方と

緑谷めい
恋愛
 私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。  突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。  2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。 * 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。

【完結】婚約相手は私を愛してくれてはいますが病弱の幼馴染を大事にするので、私も婚約者のことを改めて考えてみることにします

よどら文鳥
恋愛
 私とバズドド様は政略結婚へ向けての婚約関係でありながら、恋愛結婚だとも思っています。それほどに愛し合っているのです。  このことは私たちが通う学園でも有名な話ではありますが、私に応援と同情をいただいてしまいます。この婚約を良く思ってはいないのでしょう。  ですが、バズドド様の幼馴染が遠くの地から王都へ帰ってきてからというもの、私たちの恋仲関係も変化してきました。  ある日、馬車内での出来事をきっかけに、私は本当にバズドド様のことを愛しているのか真剣に考えることになります。  その結果、私の考え方が大きく変わることになりました。

その日がくるまでは

キムラましゅろう
恋愛
好き……大好き。 私は彼の事が好き。 今だけでいい。 彼がこの町にいる間だけは力いっぱい好きでいたい。 この想いを余す事なく伝えたい。 いずれは赦されて王都へ帰る彼と別れるその日がくるまで。 わたしは、彼に想いを伝え続ける。 故あって王都を追われたルークスに、凍える雪の日に拾われたひつじ。 ひつじの事を“メェ”と呼ぶルークスと共に暮らすうちに彼の事が好きになったひつじは素直にその想いを伝え続ける。 確実に訪れる、別れのその日がくるまで。 完全ご都合、ノーリアリティです。 誤字脱字、お許しくださいませ。 小説家になろうさんにも時差投稿します。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた

奏千歌
恋愛
 [ディエム家の双子姉妹]  どうして、こんな事になってしまったのか。  妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。

私と結婚したいなら、側室を迎えて下さい!

Kouei
恋愛
ルキシロン王国 アルディアス・エルサトーレ・ルキシロン王太子とメリンダ・シュプリーティス公爵令嬢との成婚式まで一か月足らずとなった。 そんな時、メリンダが原因不明の高熱で昏睡状態に陥る。 病状が落ち着き目を覚ましたメリンダは、婚約者であるアルディアスを全身で拒んだ。 そして結婚に関して、ある条件を出した。 『第一に私たちは白い結婚である事、第二に側室を迎える事』 愛し合っていたはずなのに、なぜそんな条件を言い出したのか分からないアルディアスは ただただ戸惑うばかり。 二人は無事、成婚式を迎える事ができるのだろうか…? ※性描写はありませんが、それを思わせる表現があります。  苦手な方はご注意下さい。 ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

処理中です...