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本当の幸せ
しおりを挟むトーマスは絶対に言ってくれないと思ってた。ずっと敬語だったし、ずっとシャーロット様だったし……私を女としては、見てないんじゃないかなって。だから……
「……嬉しい。」
「本当!? 本当に!?」
「トーマスがいてくれたから、私は頑張ってこられた。いつだって守ってくれて、いつだってそばに居てくれて……いつの間にか、トーマスに恋をしてた。」
トーマスはシャーロットを優しく抱きしめ、
「俺はずっと、大好きだった。そしてこれからも……愛してる。」
一年後、シャーロットとトーマスは、村の小さな教会で結婚式を挙げた。
「シャーロット様を泣かせたら、いつでも奪うから。」
ロベルトはまだシャーロットを諦められないでいる。
「泣かせることは決してありません。ですので、シルバード子爵の出番はありませんよ。」
「ロベルト様もそろそろお相手を見つけなければ。お仕事が大変なのは分かりますが、幸せになっていただきたいです。」
シャーロットはロベルトの気持ちに、これっぽっちも気付いていなかった。
「……なんだか、すみません。」
「何故、君が謝るんだ!? この幸せものがー!!」
シャーロットのおかげで、病院が大人気? になり、毎日村は賑わっていた。
シャーロットが張っている結界のおかげで、国は魔物に襲われる事はなくなり、平和な日々が続いている。
国王は、シャーロットを王都に呼び寄せたがっていたが、シャーロットがそれに応じることはなく諦めたようだ。だが、シャーロットに感謝の気持ちを表したいと、聖女という新たな爵位を与えた。
そして、月日は過ぎ……
「アンジェラ、あまり遠くに行っちゃダメよ!」
「お母さんに見せたいものがあるから、そこで待ってて!」
「アンジェラは母親似だな。」
「違うわ。あなたに似たのよ。」
「お母さん、見て! この子、可愛いでしょ!?」
アンジェラが連れてきたのは、スライムだった。
「魔物がどうして結界の中に!?」
「この子は、悪い子じゃないから大丈夫。ケガをしてたから、私が治してあげたの!」
この子は、私以上の聖女になるのかもしれない。
「やっぱり、シャーロットに似てるな。」
「そうね。否定はしないわ。」
「私は、お父さんにもお母さんにも似てるよ。」
シャーロットとトーマスの子、アンジェラは、シャーロット以上の聖女になり、この世界を魔物から救う救世主になりそうです。
END
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