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そして誰もいなくなった
しおりを挟む「誰か! 誰かいないのか!?」
「……旦那様、お戻りになられたのですね。」
使用人達が、馬小屋から出て来た。使用人達は、ルークの側が一番安全だと思い、帰ってくるまで馬小屋に隠れていたようだ。
「邸がどうして燃えたんだ!?」
「モア様です。旦那様が出ていった後、邸に火を付けました。」
「何だと!? あの役立たずが、なんて事をしてくれたんだ!! モアは今どこにいるんだ!?」
「馬車を出せと言われたのですが、お断りしたら、街の方に歩いて行きました。ルーク様、魔物が街を襲撃しています! どうか、お助けください!」
「兵士は何をしているのだ!? 何故、邸の周りに誰もいないのだ!?」
「私どもは、ずっと隠れていたので分かりません……」
ダルダナートの街にはもう、歩いて出て行ったモアと、馬小屋に隠れていた使用人達以外誰も残ってはいない。
「シャーロット様は? シャーロット様は、どこですか?」
ルークの側が一番安全だと思ったのは、ルークがシャーロットを連れ帰ると思ったからだった。散々バカにしていたのに、ルーク同様、虫のいい話である。
「シャーロットは戻らない。お前達は私を守れ! 護衛は3人しかいないのだから、使用人のお前達が私の盾になれ!」
シャーロットを迎えに行った時に連れて行った兵士は3人。邸にも街にも、他に兵士がいない。ルークは自分だけが助かればいいと思った。
「じょ、冗談じゃない! どうして俺達が、あんたを守らなければいけないんだ!? みんな行こう! もうこいつは役には立たない!」
「貴様! 使用人の分際で、私に逆らう気か!? 待て!」
使用人達はルークの声を無視して、街へと向かおうとした……
ザシュッ!! シュバ!!! ザスッッ!!!
「「「ぎゃあああああああああ!!!」」」
魔物達がいっせいに襲って来た! 次々に使用人達は殺され、ルークの護衛をしていた兵士達も誰一人いなくなった……
「くそ! なんだこの数は!? シャーロットー! 助けてくれ! シャーロットーーーーー!!!」
グワシャ………………
ルークは魔物に頭を握りつぶされた……。
後日、ダルダナートでモアの死体が発見された。爪で引き裂かれたのか、背中に大きな爪痕が残っていたそうだ。そんな傷を負っても、金目のものが入っていたカバンだけは大事そうに抱えていた。
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