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忘れられない人
しおりを挟む数日後
お姉様がアンソニー様に、私が離縁した事を伝えたようで、アンソニー様が邸へとやって来ました。
「久しぶりだな、セシディ。」
「アンソニー様、お久しぶりです。」
12年振りにお会いしたアンソニー様は、とても素敵になっていました。
薄茶の髪に薄茶の瞳……昔のままなのに、大人になったアンソニー様に見惚れてしまう。
私はバカですね。こんなに素敵な方が、私の事を今もまだ好きなはずがないです。余計な心配をしていたようです。
「騎士になって、大活躍だったそうですね。」
「騎士になり、国境を守る事が、セシディとの結婚を認めてもらう条件だったからな。」
「え……?」
「やっと認めてもらい、セシディを迎えに来たら、君はすでに結婚をしていた。まあ、君に連絡もしなかった私が悪かったんだ。」
それは、どういうことなのでしょう?
アンソニー様は、私との結婚を認めてもらうために、今まで頑張って来たのですか?
「認めてもらうまでは、君に知らせないと決めていた。いつまでも待たせてしまうと思ったからね。君を訪ねて来た時、君が結婚をしているかもしれないと、半分は覚悟していたんだが……あまりのショックに、頭をハンマーで殴られたようだった。」
私のために、こんなにも努力してくれていたことを知らずに、私はアンソニー様を忘れようと必死にもがいていました。
ずっと忘れられず、私は一生1人だと思っていた時に、ジオード様に出会いました。
毎日毎日、愛してるとストレートに仰ってくれた事で、アンソニー様がいない悲しみが薄れていったのです。
アンソニー様は私の為に、ずっと頑張って来てくださっていたのだと知った今も、結婚した事を後悔はしていません。何よりも大切な、アレクシスが生まれてくれたから……
「アンソニー様には、本当に申し訳ないことをしてしまいました。」
「もう一度、言わせて欲しい。私と結婚してくれないか?」
幼い頃のプロポーズを思い出します。あの時、すごく嬉しかった。でも今は……
「アンソニー様、申し訳ありません……。私は、アンソニー様と結婚出来ません。」
アンソニー様の事は、今も大好きです。嫌いになる事なんて、一生ないでしょう。
ですが、今の私には大切な息子がいるのです。この子のためなら、命だって惜しくない。
この子を立派に育てる事しか、考えられないのです。
「うーん……予想どおりの返事だな。」
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