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使用人セシディ
しおりを挟む「アレクシスは何をやってもダメね。こんなんで、ジオード様の跡を継げるのかしら?」
4歳のアレクシスに、12歳でも難しい問題を解かせようとするシモーヌ。
家庭教師代がもったいないからと、適当な問題集を渡し、お茶を飲みながらアレクシスの様子を見ていた。
アレクシスは問題を解くことが好きで、家庭教師の先生と勉強する事が大好きだった。でも、このままでは勉強をしたいと思う気持ちまでなくなってしまうかもしれない。
「シモーヌ様、私がアレクシス様に勉強を教えてもよろしいでしょうか?」
「まあいいわ。アレクシスを見ているのも退屈だったし、お願いするわ。」
シモーヌは昼寝をしに自室へと戻って行った。
「おかあしゃま……あ、えと、セシディ……ぼく、ダメな子なの?」
「アレクシスは、ダメな子なんかじゃありませんよ。とっても賢い子です。私が問題を出すから、それを解いてみて?」
「うん! ぼくもんだいとくのすき! でも、おかあしゃまのほうがもぉっとすき!」
笑顔を向けてくれるアレクシスの為にも、このままじゃダメですね。お姉様に相談してみましょう。
アレクシスの勉強が終わった頃、シモーヌは昼寝から目を覚ました。
「ふわぁぁぁ……もう勉強は終わった? 喉が渇いたわ。お茶をお願い。」
大きな欠伸をしながら部屋から出て来たシモーヌ。
「かしこまりました。」
シモーヌは他の使用人には頼まず、全てセシディに頼む。
お茶の用意をしてシモーヌの部屋へと運ぶと、
「やっぱりお茶はいいわ。部屋の掃除を頼むわ。」
お茶を片付け、モップを持ち、部屋の掃除を始めると……
「床は雑巾で拭きなさいよ! 丁寧に隅々まで拭いて。」
雑巾を持ち、床を拭き始めると……
「やっぱりお茶が飲みたいわ。すぐに用意して。」
頼まれた事をしようとすると、すかさず違うことを頼んでくる。嫌がらせなのはわかっているけど、全て言われたとおりにしています。
「表情ひとつ変えないのね。つまらないわ。」
お茶をもう一度用意し、テーブルの上に置くと……
ガシャンッ!!
「あら、手が滑っちゃった。新しいお茶をお願い。それと、割れたカップを片付けて、床も綺麗にしてちょうだい。」
割れたカップの破片を、片付けようとするとしゃがむと……
ジョボジョボジョボジョボ……
「あら、また手が滑っちゃった。花瓶の花を変えようとしただけなのにぃ。」
頭から花瓶の水をかけられた。水をかけられても動じず、割れたカップの破片を拾い、こぼれたお茶を拭き取り立ち上がると……
「それが終わったら、庭の掃除をして。」
外は大雨が降っています。何を掃除しろと言うのでしょう……
「あの花。私、嫌いなのよ。全部処分してちょうだい。」
あの花は私が好きな花で、私が自分で植えたものでした。もちろん、大切に育てて来た花を処分したくはありません……ですが、やらなければ、追い出されてしまうでしょう。
雨の中外に出て、大切に育てて来た花を全て抜き、邸へと戻ると……
「ジオード様! 私、赤ちゃんが出来ました! もうアレクシスなんて、追い出しちゃいましょうよ!」
シモーヌはジオードに、妊娠を告げていた。
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