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誤解と勘違い
しおりを挟む「そんな病気はないとは……いったい!?」
ランディ様は、マーサ様を本気で信じていたようです。
「私は病気です! ランディ様がいないと、生きていけません!」
マーサは泣きながら訴えたが……
「それならば、死んだらいかがですか?」
「散々、ランディ様とクレア様の邪魔をしておいて、なんて図々しいのでしょう。」
「愛する人を、嘘の病でつなぎ止めようとするなんて……」
「自称病弱を理由に、クレア様を苦しめていたなんて許せないわ!」
「俺を騙していたんだな……」
周りからだけでなく、ランディからも白い目で見られるマーサ。
「騙してなどいません! クレア様は私を脅しました! これ以上、ランディ様に近付くなと……私は、そんな性悪なクレア様から、ランディ様をお救いしたかっただけです!」
……はああっ!?
正直、皆から責められ、ランディ様にも白い目で見られているマーサ様を少しだけ可哀想だと思ってしまっていました。
ですが、先程のマーサ様の言葉で、私の頭の中でブチッと何かが切れた音がしました。
「マーサ様、私に仰ったことをお忘れですか? ランディ様をお金で買うのかと、仰いましたよね? ランディ様は私を愛していないから勘違いするなとも。ランディ様が愛しているのはマーサ様だけだとも、仰いました。そして、さっさと婚約解消して消えてとも。
私がいつ、マーサ様を脅したのですか? ランディ様がマーサ様の体調を心配して、マーサ様の元へ行く事さえ、お止めしたことはありません。そんなにランディ様を愛しているのなら、仮病など使わずに、素直にランディ様に好きだとお伝えしたら良かったではないですか!? 」
今まで何も言わずに溜め込んで来たことを、全て吐き出してしまいました。でも、スッキリです。
「あんたに何が分かるのよ!? ずっとそばに居てくれると思っていたランディ様が、突然、他の女と婚約だなんて……許せるわけないじゃない!!」
「それで、俺達を邪魔していたのか? 俺はお前を、本気で心配していたんだぞ!?」
信じていたマーサ様に騙されたと知り、ランディ様はお辛いようです。
「皆様、お騒がせしてしまい、申し訳ありません。私の為に怒って下さったり、私を心配して下さったこと、本当に感謝しております。
ランディ様、私はあなたを愛してはいません。愛そうと努力はしましたが、あなたはずっと、私よりもマーサ様を優先した。そんなランディ様を、愛する事が出来ませんでした。それに……
私はランディ様を、この先信じてついて行くことは出来そうにありません。ですので、ランディ様との婚約は、破棄させていただきます。」
ランディ様には申し訳ありませんが、あんなに幼馴染みを優先したあなたを、愛する事は出来そうにありません。
「クレア! 待ってくれ! もう一度、チャンスをくれないか!?」
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