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シュリルを想い続けたまま
しおりを挟むレナードは、ダリアが連れて来たシュリル似の女の子がずっと気になっていた。
自分の子だから……ではなく、シュリルに似ていたからだ。
あのダリアがまともに子育てが出来るとは思えないし、女性好きのシレディ伯爵が自分の子じゃないのに愛するとも思えない。(レナードは自分の子さえ、どうでもいいのだから)
「あの子は、幸せになれるのだろうか……」
結局、レナードは何も変わってはいない。
シュリルを想い続け、1人で暮らしてはいるが、我が子に愛情を抱かず、シュリルに似ているからという理由で気になるだけ。
もう一度、シュリルの笑顔がみたい……ただそれだけだった。
レナードがシュリルに一目惚れした理由を、シュリルは知らないまま亡くなった。
父親からは相手にされず、母親からは邪険にされ、毎日孤独だった。孤独に耐えられなくなったレナードは、寄ってくる女性達と見境なく付き合うようになっていった。
シュリルと出会ったのは、そんな時だった。いつも笑顔でいるシュリルに、自分にはない太陽のような明るくて暖かいものを感じた。“一目惚れ”というのは、本当の事だった。
だが、求婚したものの、自分とは正反対な穢れを知らないシュリルが眩しくて、次第に距離を置くようになった。
気軽に扱える愛人達と一緒にいる方が、レナードにとって楽だったのだ。
その夜、
「……ゴホゴホッ……何だ!?」
眠っていたレナードは、突然の息苦しさで目を覚ますと、辺りは火の海だった!
「火事……!? シュリル……シュリルは何処だ!?」
肌身離さずにペンダントにして首から下げていたシュリルの指輪が見当たらない。
「シュリル!! シュリルーーーッ!!」
レナードは指輪を見つけるまで、逃げようとはしない。
木造の小屋は火のまわりが早く、あっという間に壁全体が火に包まれる。
「ゴホゴホッ……シュリル……どこにいるんだ……ゴホッ……君がいないと……俺は……」
どんなに探しても、指輪は見つからない……
ガタンッッッ!!
天井の丸太が崩れ落ちる!
「ッッ!!!」
足が挟まれ、動く事が出来ない。
「……シュ…リル……すまなかった…………愛…して……る………………」
―――そして小屋は焼け落ちた。小屋からレナードが出てくる事はなかった。
「バカな男。こんな指輪の為に、命を捨てるなんて。」
小屋に火を放ったのは、ローラだった。
ローラはシュリルに出会う前から、レナードと付き合っていた。平民だからと妻の座は諦めたが、自分が一番愛されていると思っていたのに、レナードはシュリルしか愛していなかった。
子はいなかったし、1度は他の男性の妻になろうと考えたのだが、やはりレナードを忘れる事が出来なかった。
愛情が憎悪に変わり、レナードを殺す為に小屋を訪れ、大切そうに見つめていた指輪を寝ている間に盗み、小屋に火をつけた。
「こんな指輪なんて探さずに、すぐに逃げていたら助かったのに。」
その言葉を最後に、ローラは姿を消した。
シュリルが亡くなってから、20年の月日が流れた。シュリルの墓の前に、1人の男がいた。
「シュリル様の『生きて』は、俺にとって苦痛でした。ですが、ずっとシュリル様を想いながら生きられて、幸せでもありました。
数ヶ月前に、余命宣告されたんです。その日も1ヶ月程過ぎました。そろそろ、シュリル様の元に行けそうです。このペンダントに毎日願掛けをして来たので、必ず生まれ変わってシュリル様を見つけます。その時は、今度こそ幸せにします。」
数日後、ライアンは静かに息を引き取った。
享年45歳だった。
END
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全ての元凶はレナード
私的にはザマァが出来てスッキリー✨
ありがとうございました(*´▽`*)
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