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惨めな生活 ―ダリア視点―
しおりを挟むあんなクソ男なんかと、生涯を共にしなくていいなんてせいせいするわ!
それにマリアナを愛していなかったのだから、大金でマリアナを売ったと思えばいいのよ。
袋を開けてみると……
「……何これ!?」
金貨が入っていると思っていた袋の中は、全て銅貨だった。
金貨1枚で馬を一頭買うことが出来るが、銅貨1枚では食事1回分。
全部金貨だと思っていたダリアは、激怒していた。
「あんのドケチ男っっ!!」
今更邸に戻っても、中に入れてもらえないだろう。ダリアはこのまま、去ることしか出来なかった。
当分は暮らす事は出来るだろうが、ダリアにはもう、他に何もない。
セイード男爵家は叔父が継いだが、ダリアを良く思っていない。手を下したわけではないが、兄と姪の死にダリアが関係しているのだから当然だ。
ずっと好きなように生きてきたダリアに、仕事をする事など出来ないし、結局は男に頼る事しか出来なかった。
お金が尽きる前に、金ヅルになりそうな男を探さなきゃ。もう貴族は無理ね。
何もかもレナード様のせいよ! いいえ、レナード様と結婚したお姉様のせいだわ!
自害なんてしないで、とっととレナード様と別れれば良かったのよ!
ダリアが次に目をつけたのは商人だったが、ダリアが相手にされる事はなかった。
レナードの時と同じように、悪い噂が国中に広まっていたのだ。広めたのは、レナードの元愛人達だった。1人だけ幸せになっていた事が、他の愛人達は許せなかった。
実の姉の夫の愛人になり子まで作り、姉を自害に追い込んだ性悪。娘を金で売り飛ばした悪女。
悪い噂はどんどん広がり、ダリアもレナード同様、暮らせる場所などどこにもなくなっていた。
お金も底をつき、食べる物にも困り始めたダリアは、なりふり構わず男と寝てお金を貰うようになった。
「ゴホゴホッ……」
「何だお前……病気か!?
うつされたらたまったもんじゃない! じゃあな!」
男は服を着て、さっさと出て行った。
「ちょ! 待ってよ! まだお金貰ってな……ゴホゴホッ……」
複数の男に体を許し、お金を貰っていたダリアは、どうやらそのうちの誰かに病気をもらったようだ。病気の女を抱きたいものなどいない。
収入もなくなり、食べる物も買えず、宿に泊まるお金もない。
路地裏で地べたに座り、惨めに生きている。
どうしてこんな事になってしまったんだろう……
私はただ、お姉様に勝ちたかった。お姉様よりも、私を愛していると言われたかった。
私の子でさえ、お姉様に似ていて……しかも、その子にさえ負けた。私を愛してくれる人なんて、どこにもいなかった。
もういいや……もう、疲れたから休みたい。
………………………………………………
翌朝、ダリアは路地裏で冷たくなっていた。
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