〖完結〗もう私に関わらないでください!

藍川みいな

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28、家族の絆

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 目が覚めると、自室のベッドの上でした。どうやら私は、あのまま眠ってしまったようです。
 体が麻痺して不安だったはずなのに、リオン王子がそばにいてくれて安心していました。
 でも、気持ちを伝えることが出来ませんでした。

 体は……動くようです。

 ベッドから起き上がり、深呼吸をしてみます。……大丈夫、体に問題はなさそうです。

 
 「お嬢様、起きていらっしゃいますか?」

 ノックの後に、ミランダの声が聞こえたので、そのままドアを開けてあげました。

 「ミランダ、どうしたの?」

 ミランダはすごい勢いで私の顔を覗き込み、

 「どうしたのじゃありませんよ! どうしてあんな無茶をなさったのですか!? リオン王子様が間に合わなかったら、どうなっていたか!!」

 ミランダは全てを知っているようです。

 「ごめんね、心配してくれてありがとう」

 ふくれっ面をするミランダ。

 「ホントですよ! 
 でも、昨日のリオン王子様は本当に素敵でしたよ! 旦那様に、お嬢様を必ず守るからと、ホージー侯爵との婚約を破棄させたんです!」

 ベントン侯爵の邸に来る前に、そんな事があったのですね。リオン王子には、本当に感謝しています。でも、エリック様がこのまま身を引くとは思えません。リオン王子に何かしたりはしないと思うけど、心配です。
  
 朝食をとるために食堂へと行くと、お父様とお母様が揃っていました。
 エリック様との婚約が決まった日から、お父様は一緒に食事をとろうとはしませんでした。お母様はそんなお父様と、無理矢理婚約させられた私の事を思って、ずっと泣いていました。幸せだった家族まで、エリック様は壊していたのです。

 「おはようございます」

 挨拶をして席に着きました。

 「おはよう、ティアナ。昨日は大変だったわね。無事で、本当に良かった……」

 お母様は心配そうに、私の顔を見ています。

 「……すまなかった。私のせいで、お前を苦しめてしまった」

 お父様は、私の顔を見ることが出来ないようで、ずっと俯いたままです。

 「お父様のせいではありません。エリック様は、私を手に入れる為なら何でもする方です。だから、最初から私のせいなのです」

 もしもお父様が、婚約の話を断っていたら、私の命は狙わなくても、お母様とお父様の命が危険に晒されていたかもしれません。
 あの時は、抗う術なんてなかったのです。

 「お前が悪いことなど、何もありはしない! ホージー侯爵は、お前に執着しているようだが、それはお前のせいではない。
 手に入らないのならお前を殺すと脅され、婚約を認めてしまったが、全てを捨てて皆で逃げる道もあったのかもしれないと、考えさせられた」

 「お父様、私は逃げませんよ。その為に武術を習い、強くなったのです。
 昨日は、薬物などという卑怯な手を使われてしまいましたが、エリック・ホージー侯爵になど、絶対に屈服したりしません」

 あの男の思い通りになんてさせません。犯してきた罪も、全て償わせます!

 「そうだな。お前は本当に、強くなった。私はティアナを信じるべきだったのだな」

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