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24、許せない!
しおりを挟む「それは、どういう事なの!?」
翌日、レミアさんを監視していたシェイド様の部下が邸にやって来ました。
「申し訳ありません! 家に居ると思い、外で見張っていたのですが、先程、レミア・バートンが街の路地裏で遺体で発見されました!」
レミアさんが……死んだ……?
まさか、私がレミアさんの名を出してしまったからでしょうか……?
「お嬢様!?」
私は立っていられず、倒れそうになった所をミランダが支えてくれました。
私のせいで、また人が死んでしまいました……
どうして、こんなに簡単に人を殺せるのでしょうか……
レミアさんは、エリック様の唯一の理解者だったはずです。愛してくれる人を手にかけるなんて、あの男は人間ではありません!!
もう限界です……
決めました! 私、自ら動きます!
私を殺したければ、狙って来ればいいのです。返り討ちにしてやります!
レミアさんには身寄りはなく、葬儀は行われずに平民墓地に埋葬されると聞きました。平民墓地とは遺体を埋葬するだけで、墓石などはありません。
巻き戻る前は、生きていたはずなのに……レミアさんには本当に申し訳ないことをしたと思います。レミアさんは、ただ愛する人のそばにいたかっただけでした。
社交界の集まりは苦手でしたが、積極的に出席する事にしました。
「お久しぶりです、テイラー侯爵夫人。相変わらずお綺麗ですね」
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「相談? 聞くわ!」
テイラー侯爵夫人は、噂好きな方で有名でした。相談などしたら、他の貴族に話しまくるでしょう。ですが、それが狙いです。
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たった数日で噂は広がり、貴族の間ではエリック様の話で持ち切りになりました。
ある日のダンスパーティー……
「やってくれたな」
いつものように、色々な方にエリック様の事を話した後バルコニーで涼んでいたら、声をかけられたので振り返ると、そこにはエリック様が立っていました。
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あらすじ
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