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15、策略
しおりを挟む噂が流れたことで、リオン王子が邸に来ることがなくなりました。王太子であるリオン王子が、伯爵令嬢にご執心という噂まで流れ始め、国王様が激怒なさっているそうです。
リオン王子はたくさんの縁談を断って来たようで、国王様も手を焼いていたそうです。その断って来た理由が私だと思ったのでしょう。
前の人生でも、リオン王子は縁談を断り続けていたので、原因は私ではないのですが……
リオン王子の様子がおかしかったのは、もしかしたら噂が流れ始めていたからだったのかもしれません。
リオン王子が、邸に来なくなってから1週間が経ち、私は16歳になりました。
そしてとうとう、この日がやって来たのです。
「ティアナ、お前に会いたいという方がみえている」
お父様が、エリック様を連れて来ました。お父様には、エリック様は苦手だとハッキリと言いました。リオン王子の側近なので、名前を出しても不自然ではなかったからです。
それでも、この日を変えることが出来ませんでした。
「お会いしたくありません。その方は、エリック様ですよね? ハッキリ苦手だと、言ったはずです」
もう邸に来てしまっているのだから、拒否することは出来ないのは分かっていますが、少しでも抵抗をしたかったのです。
「すまない。どうしてもお前に会いたいと、必死だったのだ。それに、お前には会ったことがないと言っていたぞ? 話してみれば、気が合うかもしれない!」
リオン王子が今も邸に来ていたら、お父様がエリック様を連れて来ることはなかったはずです。
まるでこの日に合わせて、噂が流れたみたいですね。
仕方なく、エリック様が待つ応接室へと向かいました。たとえ会ったとしても、私が受け入れなければいいだけ……そうは思っても、どんなに拒絶しても前と同じになるのではという不安が押し寄せて来ます。今日が変わっていたらと、どんなに望んでいたか……
「本当に美しい方ですね」
応接室のドアを開けて中に入ると、あの時と同じセリフを言われました。そのセリフを聞いて、鳥肌が立ちました。
「……ありがとうございます。どのようなご用件でいらしたのですか?」
本当は今すぐ追い出したいけど、エリック様にとっては初対面なのだから我慢しなければなりません。
「初対面だと思うのですが、俺のことがお嫌いですか?」
思いっきり態度に出ていたようです。嫌い……そう言いたいけれど、言うわけにはいきません。
「よく知りもしない方を、嫌いだなんてあるはずないです。これから用があるので、お話がないようでしたらこれで失礼します」
一刻も早く逃げ出したかった私は、応接室からすぐに出て行こうとしました。
「待ってください! 俺の婚約者になっていただけませんか?」
嫌です! 絶対に嫌!!
あなたと婚約するくらいなら、あなたを殺してしまいたいくらいです!!
「お断りします。ホージー侯爵の婚約者になるつもりはないので、諦めてください」
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