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学園生活
しおりを挟むパーティー以降、私が『氷のセシディ』と呼ばれる事はなくなりました。プリシア王女のお陰で、プリシア王女以外の方の前でも、無意識に色々な表情をするようになったのです。
きっと、私は怖かったのだと思います。幼い頃みたいに、笑ったり怒ったり泣いたり悲しんだりしても、誰も私を見てはくれないのでは……と。
あのパーティーで、プリシア王女が私の表情を変えてくれたから、私は変われたのです。
学園でも、友達がたくさん出来ました。学園生活がこんなにも楽しいなんて、知りませんでした。
学園生活が楽しいのは、友達が出来たからだけではありません。
「セシディ! お昼を食べよう!」
ロイド様が私の為に、学園に編入してくださったのです。学年が違うので、一緒に学んだりは出来ませんが、休み時間になると必ず会いに来てくださいます。ロイド様曰く、『いつも城では、プリシアが一緒だから、二人の時間も過ごしたい。』との事でした。
「あの……今日は、私が作って来たのですが……食べていただけますか?」
「何!? それは本当か!? 食べる! いや、食べさせてください! 」
子供みたいに喜んで……可愛いです。
二人は校舎の裏庭にあるベンチに座り、
「サンドイッチを作って来ました。お口に合えばいいのですが……」
そう言って差し出したサンドイッチは色とりどりで、野菜やお肉やチーズが挟んである。
「セシディの手作りなのだから、私の口に合わないわけがない! いただきます!」
ロイド王子はサンドイッチをひとつ取り、口へと運び、一口食べる。
「……美味い! 美味すぎる! 今まで食したもの全ての中でも、ダントツの一位だ!」
ものすごくキラキラした目をしながら、もぐもぐとサンドイッチを平らげていく。
「はぁー!! お腹がいっぱいだ。」
「ロイド様、ありがとうございます。」
「ん? 礼を言うのは私の方だ。こんなに美味しい食事をありがとう。」
「あ……いいえ、そういう事ではなくて。ロイド様に、感謝の気持ちをお伝えしたかったのです。」
「何の感謝だ?」
「学園ダンスパーティーの時のです。あの時、お礼を言うことが出来ませんでしたから。」
あの時、ロイド様が助けてくれたから、今の私がいるのだと思います。もしもあのまま、あそこにいたら……私の心は、前よりももっと凍り付いていた気がします。
「あの時から……私はきっと、ロイド様に恋をしていたのだと思います。」
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