〖完結〗妹に婚約者を奪われた私を救ってくれたのは…

藍川みいな

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プリシア王女のおしおき

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 「な、なんだ!? こ、子供!?」

 「プリシア王女!?」

 どういう事!? どうしてここに、プリシア王女がいるの!? それに、ロイド様まで……

 「プリシア王女様だって!?」
 「本当だ……横にいらっしゃるのは、ロイド王子ではないか!?」
 「なぜ、このような所に王女様が!?」

 貴族達は、驚き戸惑っている。

 「そこのボンクラ! よぉーく聞きなさい! セシディセンセイは、とぉってもステキな人よ! センセイは、人を傷つけたりしない! とても優しいんだから! 気色悪いのは、あんたの方よ!!」

 「なんだとガキ! 調子に乗るな!!」

 ザワザワザワザワザワザワザワザワ……

 ダンカンはやはり、ボンクラのようだ。皆が王女だと気付いているのに、ボンクラのダンカンは気付いていなかった。

 「ダンカン!! 王女様に、なんて口を聞くんだ!!」

 慌ててトール侯爵が王女だと伝える。

 「お、王女!?」

 「やっぱりボンクラね! だいたい、セシディセンセイにひとめぼれしたくせに、そのドブスな妹で本当にいいの? 」

 「ドブスですって!?」

 「落ち着け! シリル!」

 ダンカンがシリルをなだめる。

 「セシディセンセイをいじめたおまえらなんか、うまにけられてしんじゃえ!」

 「プリシア、それはさすがに口が悪いぞ。」

 「だってお兄さま、あのおんなウソばっかり! 」

 「そうだな。だが、もう十分だ。プリシアは先生の所に行きなさい。」

 「うん!」

 プリシア王女は、セシディの元へ駆け出した。

 「センセイー!」

 「プリシア王女、どうしてこんな所にいらっしゃったのですか?」

 「センセイに、会いたかったから!」

 「……私も、プリシア王女に会いたかったです。」

 セシディはプリシア王女を抱きしめ、優しく微笑んだ。その瞬間、会場にいる全ての者がセシディに魅入った!

 「なんて美しいんだ……」
 「氷のセシディなんかじゃなかった……」
 「まるで女神様……」

 セシディの微笑みひとつで、会場の雰囲気は一気に変わっていた。

 「な、何なのよ!! お姉様は、無表情が売りの氷のセシディなんだから、笑ったりしたらダメじゃない!! 私が見たかったのは、お姉様の顔が歪む所……なんで笑ってるのよ!!?」

 「……性格が歪んでいるのは、妹の方じゃないか。」
 「そうですね。先程、プリシア王女が言ったことは、真実のようですわ。」
 「王女様にあんなにも優しいお顔をする方が、妹をバカにするなんて思えませんわ。」

 貴族達のシリルを見る目が冷たくなり、先程のシリルの言葉を信じる者などいなくなっていた。

 そして、その中にダンカンも含まれていた。

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