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43、グランディ王国へ
しおりを挟む翌日、スフィリル帝国を出発した。
これから一年、グランディ王国で王妃教育を受け、一年後にレイビス様と結婚することになる。
馬車の窓から流れる、スフィリル帝国の街並みを目に焼け付ける。
「一緒に行ってくれるのは嬉しいけれど、帰りは寂しいんじゃない?」
モニカは、グランディ王国までの護衛をすると言って聞かなかった。
スフィリル帝国に向かった時と同じように……というより、四人一緒の馬車に乗ってグランディ王国へと向かっている。
「帰らないよ」
モニカは、 真顔でそう言った。
「……え?」
顔を見る限り、冗談で言っているようには見えない。
「陛下に、これからもセリーナの護衛をしたいとお願いしたら、お許しをいただけたの。ついでに、セリーナの様子を頻繁に知らせるように言われたけれど」
叔父様……それは、やり過ぎです。
「でも、モニカは叔父様の側に居たいんじゃないの?」
モニカは微笑みながら、首を横に振る。
「遠く離れていても、私の心の中には陛下がいらっしゃるわ。陛下はお父様が護衛しているから心配ないけれど、セリーナの護衛を知らない方に任せるなんて出来ない」
モニカは、本当に強い。
剣術だけでなく、心も。
「嘘だろ……またセリーナとのイチャイチャを、邪魔されるのか……」
レイビス様は大きなため息をつきながら、うなだれた。
「嘘でしょ……また私だけ、仲間はずれじゃない!」
シェリルは顔を真っ赤にしながら、文句を言っている。
二人は不服そうだったけれど、私はすごく嬉しかった。
シェリルは一度グランディ王国に寄ってから、グルダに行くことになっている。グルダに着いたら、王妃としての忙しい日々が待っているから、最後の自由な時間だ。
「すごい……」
グランディ王国の王都に入ると、国民が歓声を上げながら手を振ってくれている。
「レイビス様のお帰りを、皆さん待ちわびていたのですね」
そう言った私を、レイビス様とシェリルがニコニコしながら見ている。
どうしたのかと首を傾げた私に、
「国民は、セリーナを一目見たくて集まっているんだ」
そうレイビス様が言った。
まさか、私の為に集まってくれていたとは思わなかった。
笑顔で手を振ってくれている国民を見ると、単純だけれど、一瞬でこの国を好きになっていた。
私を歓迎してくれるのは、レイビス様が国民から慕われているからだと思う。
王宮に到着すると、国王陛下が出迎えてくれた。
「ようやく会えたね」
第一印象は、とても優しそうな方だった。
容姿はレイビス様とシェリルにそっくりだけれど、二人よりもおおらかな感じがする。
「陛下、お初にお目にかかります。セリーナ・ブランカと申します」
◇ ◇ ◇
部屋に案内されて荷物を置くと、窓を開けて外の景色を眺める。庭園の美しさに癒されながら深呼吸をすると、小鳥のさえずりが聞こえて来る。
これからはこの国で生きて行くことになるけれど、不安はなかった。
「部屋は気に入った?」
「とても気に入りました。お部屋も素敵ですし、何より庭園が素敵で心が癒されます」
白を基調とした清潔感のある壁や家具、繊細で美しいレースのカーテン、気持ちのいい光が差し込んで来る大きな窓。素敵過ぎて、夢の世界にいるみたい。
美しい庭園に魅入っていると、レイビス様に後ろから抱きしめられていた。
「ずっと、こうしたかった……」
耳元で囁かれ、トクントクンと心臓が脈打つ音が聞こえて来る。
「レイビス様……」
それ以上、言葉が出て来ない。
愛しさが込み上げてきて、離れたくなくなる。
これから一年間は、忙しくて一緒に過ごせる時間はあまり取れないだろう。
寂しいけれど、弱音ははかない。
彼と過ごせる時間を大切にしながら、王妃教育を完璧にこなしてみせる。
不思議だけれど、彼が居てくれるだけで何でも出来そうな気がしていた。
「逃げ出すなら、今のうちだぞ」
言葉とは裏腹に、声が震えている。
「逃げませんよ?」
むしろ、ずっとこのままで居たい。
「今逃げなければ、永遠に離さない。俺に飽きても我慢しなければならないし、子供みたいに拗ねることもある。それに……」
「レイビス様」
彼の言葉を途中で遮り、振り返ってそっと頬にキスをする。
「レイビス様に、飽きたりしません。それに、子供みたいに拗ねるレイビス様も好きです」
彼の目を見つめながら、心から思っていることを伝える。
「この先何年、何十年経っても、私は毎日レイビス様に恋し続けます。永遠に、離さないでください」
レイビス様は微笑みながら、そっとくちびるにキスをした。
END
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こんばんは😃🌃
藍川みいな先生!
完結(だいぶ前?!)ありがとうございました🙇
改めて拝読させて頂き、ほんっとーに良かった‼️と思いました。
様々なキャラが入れ替わり立ち替わり、けっこう目まぐるしく、1つのイベントでさえ混乱しがちなシーンもありましたが、セリーナを取り巻く方々(最終的にはカインさえも)に恵まれ、その度に個々に纏わる新たな情報や一面・多面を知り、周囲の理解を得つつ、ハッピーエンドにまで到達できて、ハラハラとワクワクと、不安と心配に都度襲われながらも(笑)レイビスもシェリルも、シオン様やハンナの雪辱も果たせ、クリスティナが墜ちてくれたのがスカッとしました🙆
何気に面白かったのが、セリーナの叔父様です(^-^)/
お母様を思い出して切なく感じるセリーナも、多分お姉さまに生き写しな姪に泣きたくなるような、再会できた錯覚になるお気持ちを鑑みるとぐぐっと来ます😢
そして藍川先生、しっかり物語を完結に導くよう、紡いで下さりありがとうございました😊
年末年始に向けて、より慌ただしい日々になるでしょうが、お身体くれぐれもご自愛くださいませ✨
感想ありがとうございます♪
完結はだいぶ前ですが、こうして嬉しい感想をいただけてとても感謝です(*´ `*)
これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!
ニャンコ大好きさんも身体に気を付けてくださいね!
ちなみに私もにゃんこ大好きです♡
完結おめでとう㊗️🎉🍾御座います。とても面白くて楽しい作品です♪みんなそれぞれ幸せに慣れて本当に良かったです。🤗シェリルだけが違う国に嫁ぐけどそれでも愛する人と一緒だから幸せに慣れるでしょうしセリーナ達と時々は会えるだろうし手紙等も書くだろうしね幸せで楽しい一生を過ごす事になるだろうと思います。彼等のその後が有れば番外編等で読めればなと思います。
これからも応援していますので頑張って下さいね♪次の作品も楽しみながら読みたいと思います。
読んでくださりありがとうございます(*´ `*)
本当にいつも感謝です♪
完結お疲れ様でした!
「王太子殿下と結婚するのは・・・子爵の血が入った下賤な輩!!」
との前振りでグランディ王国編がスタートするのかと思ってましたがそんな事は無かったぜ!wwもうお腹いっぱいww
やはり最後までモニカはお邪魔虫だったかwwでもこれってセリーナが単なる護衛対象に過ぎなかったとしたらここまでの事はしないんだろうな。主従ではなく友情で結ばれています。個人的には彼女達の絆が印象強かったです。
年末までのご執筆、本当に有難うございました。どうぞ良いお年をお迎えください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました(*´ `*)
グランディは快く迎えてくれましたね♪
モニカは、セリーナが本当に大切だということですね。
こちらこそ、年末までおつき合いありがとうございました。
良いお年をー