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旦那様の愛人
しおりを挟む「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
私の名前は、セリア・スペクター。スペクター侯爵の一人娘で、5年前にルーカス様と結婚をし、4歳になる息子が1人いる。ルーカス様とは幼馴染で、婿にするなら見知った者がいいとの父の一言で結婚が決まった。ルーカス様はブラウン伯爵の次男で、スペクター侯爵家に婿入りし、本邸の敷地内にある離れで3人で暮らしていた。
1時間程前、門の前で騒いでいた女性を門番は必死に追い払おうとしていた。
その時ちょうど馬車で帰宅した私は、門番に何事かとたずねた。
すると、門の前で騒いでいた女性に、
「ルーカス様の事で、奥様に大切なお話があります。」
そう言われ、離れの応接室へとお通しし、あの言葉を言われた。
「まず、あなたはどちら様でしょうか?」
名乗りもせず、いきなりルーカス様と別れて欲しいなどと、なんて図々しい……違うわね、妻の元へ乗り込んで来る事自体が図々しい。
あまりに突然で、あまりに馬鹿げた出来事に、頭が少し混乱しているみたい。
きっとこの方は、旦那様の愛人なのでしょう。旦那様が私と結婚する前から、付き合っている方がいたのは気付いていました。
ですが、私と結婚する事になり、きちんと別れてくれていると信じていたのですが……
「私はロザンナ。ルーカス様とお付き合いして7年になるわ。あなたが後から現れて、私のルーカス様と結婚してしまったんだから、そろそろ返して欲しいの。」
そっかあ……この人にとっては、私が奪った事になるんですね。
「ロザンナさんは、ルーカス様と7年間ずっとお付き合いなさっていたのですか?」
「当たり前じゃない! 私達はずっと愛し合っているのよ! ルーカス様はいつも、セリアなんかと一緒にいるのは苦痛だって言っているわ!」
……酷い言われようね。私だって、ルーカス様と一緒にいるのは苦痛でした。
私を抱いたのは初夜の1度きり……その1度でカイトが生まれ、その後はまともな会話すらなくなっていた。
カイトに対しても無関心で、何を考えているのかまるでわからなかった。
幼馴染と言っても、お父様同士が仲が良かったから、子供の頃から顔を合わせる機会が多かっただけで、私達は別に仲が良かったわけではなかった。
「ロザンナさんは、ルーカス様と愛し合っていたのですよね? それならば、どうしてルーカス様は、私と結婚したのでしょう?」
「それは……」
それは見れば分かります。小柄でふわふわの髪、目を潤ませながら話す彼女は、男性が守ってあげたいと思うのでしょう。ですが、あなたは見るからに平民。
ルーカス様は平民のあなたよりも、侯爵家の婿を選んだのでしょう。
「それはこの侯爵家を手に入れるためよ!」
「……へ?」
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