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お父様の策略
しおりを挟む「お父様がドリュー男爵にお貸ししたお金を、スチュワート様が返して来たんですか!?」
どうしてそんな回りくどいことをしたんだろう?
「ドリューはかなりあくどい商売をして儲けている。それを調べて国に報告をした。国から調査が入り、アイツは破滅するだろう。破滅したドリューはリベリア伯爵に金を返せと言うだろうが、リベリア伯爵に返せるはずもないのだから道ずれにすると言うわけだ。わっはっはっ!」
「お父様……少し怖いですよ。」
「そ、そうか!? すまない……。」
お父様はシュンとしてしまった。
「でも、私の為にありがとうございます。お父様の気持ちが私を救ってくれました。」
前世でのお父様やお母様も、私を愛してくれていた。それなのに私は……。
弱かった私はもういない! 強く生きていきます!
「お前の為なら、私は悪魔にだって魂を売る。」
お父様は優しい笑顔で、怖い事をサラッと言った。
「冗談だ。」
「ふふっ。絶対本気ですよね?」
私が幼い頃にお母様が亡くなり、お父様は私を大切に育ててくれた。どんなお父様でも、大好きです。
数週間後、お父様の策略は現実のものとなった。
ドリュー男爵のお邸に国の調査が入り、悪事が暴かれ、爵位剥奪は免れたものの財産を全て没収された。全財産を失ったドリュー男爵は、スチュワートに貸した金の返済を早急に求めたが、もちろん返せるはずもなく……。
そしてドリュー男爵はシンディと共に、スベン男爵に追加でお金を貸してくれと頼みに来た。
応接室へと通されしばらく待っていると、スベン男爵が入って来た。
スベン男爵が応接室に足を踏み入れた瞬間、
「頼む! 金を貸してくれ!」
ドリュー男爵は、すぐに頭を下げた。
「この前貸したばかりじゃないか。なぜまた金が必要なんだ?」
スベン男爵の言葉に、シンディは黙っている事が出来なかった。
「お父様がスチュワート様に貸したお金を、あなたが受け取ったくせに!」
「ほう……金を借りた上に、また借りに来ておいて随分な言い草だな。」
「す、すまない! いいえ、申し訳ありません! シンディ、頭を下げて謝れ!」
ドリュー男爵はシンディの頭を押さえ込み、頭を下げさせた。
「私の娘を侮辱しておいて、よく金を貸してくれと泣きつけたな! お前達に貸す金などない! 先日貸した金のかわりに、お前の邸を貰うことにする。」
「な、ふざけるな!そんな事……」
「もう忘れたのか? 金の返金を求められた際に返金出来なければ邸を明け渡すと、この借用書にちゃんと書いてあるではないか。」
スベン男爵は思い通りになるように、ドリュー男爵に借用書を書かせていた。
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