15 / 15
悲しみと幸せ
しおりを挟む王様は先程の雰囲気とは違い、悲しげに話し出した
「ケイトリンの事だが……亡くなった」
ケイトリンが!?どうして!?
「あの…何があったのですか!?」
「そなた達がこの国を去り、王子がそなたを追って国を出た後、ケイトリンから話は全て聞いた。ミラーの秘密もそなたの呪いのことも…。今思えば、それはそなたへの最後の償いのつもりだったのかもしれぬな。その後すぐ、ケイトリンは自ら命を絶った…」
自ら!?ケイトリン…どうして!?
私はあなたに何もしてあげられなかった
あなたを苦しめただけ…
王様は一枚の紙を取り出し、セリーナに渡した
「これはそなたへの手紙だ」
『セリーナお姉様
お姉様…今までごめんなさい。
そしてありがとう。 』
短い手紙…だけど、想いが詰まってる…
ケイトリン…ダメな姉でごめんね
涙が次から次へと流れてくる…
「お姉様…泣かないで」
アシュリーが涙を拭ってくれる
「ミラー家のことだが…これまで秘密にしてきた事を咎めるつもりはない。これからは親族になるのだから…」
え…?
「父上…それでは…」
「2人の結婚を許そう。セリーナ…すまなかった。王子の気持ちを聞いても、そなたの姿が理由で許すことが出来なかった。リアムと結婚するということは、いずれこの国の王妃になる。国の母があのような容姿だと考えると…許すことが出来なかったのだ。愚かな私を許してくれ…」
王はセリーナに向かい、頭を下げた
こうしてセリーナとリアム王子は婚約し、盛大な婚約式が行われた
セリーナは大聖女となり、忙しい日々を送っていた
リンダはセリーナの専属メイドとなり、王室に仕える事となった
アシュリーは悪魔から人間になった事で聖女の力が芽生え、セリーナの元、聖女として働くことになった
セリーナとアシュリー、そしてリンダはケイトリンの墓を訪れていた
「ケイトリン…アシュリーと一緒に帰ってきたよ。会いに来るの遅くなってごめんね。」
「ケイトリンお姉様、ただいま。アシュリーは、セリーナお姉様のお役に立つため、毎日聖女としてがんばってます!」
「アシュリーったら、私より聖女の才能があるみたいなの!ケイトリンにも見せたかったな…」
「セリーナー!」
遠くからリアム王子の呼ぶ声が聞こえてきた
振り向くと、リアム王子が大きく手を振りながらこちらに走ってくる
「リアム王子、どうされたのですか?今頃は公務のはずでは?」
「はぁはぁ…逃げてきた!はぁはぁ…」
「セリーナにそんなに会いたかったのー?」
リンダはリアム王子をからかう
「しょうがないだろ!?セリーナは大聖女として忙しいし、私は公務で忙しいし…。会いたかったんだ!」
リアム王子の素直な言葉にセリーナの顔は真っ赤になる
「お姉様、お顔が赤いです」
「アシュリー、2人にしてあげよう」
「え!?ヤダヤダ!お姉様と一緒にいるー!」
リンダは無理やり、アシュリーの首根っこをつかみ連れていく
「セリーナ…君に初めて会った時から、ずっと好きだった。愛してる…」
「…リアム王子、私もです。ずっとお慕いしておりました。」
リアム王子はセリーナを強く強く抱きしめた
コソコソ…
「もっとぶちゅーっとかしなさいよ!」
「アシュリーのお姉様なのに…」
リンダとアシュリーは、こっそり覗いていた
「聞こえてるぞ!」
「リアム王子はもっと積極的にならないと!」
「アシュリーのお姉様なのにー!」
「ふふっ。2人きりには、なかなかなれそうにないですね」
リアム王子はセリーナの顔を引き寄せ、キスをした
「「キャー!!」」
リンダはアシュリーの目を、手で覆った
「2人きりになれないなら、こういうのにも慣れてもらわなくては!」
リアム王子はセリーナにもう一度キスをした
END
85
お気に入りに追加
2,919
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(28件)
あなたにおすすめの小説
精霊に愛されし侯爵令嬢が、王太子殿下と婚約解消に至るまで〜私の婚約者には想い人がいた〜
水都 ミナト
恋愛
精霊王を信仰する王国で、マナの扱いに長けた侯爵家の娘・ナターシャ。彼女は五歳でレイモンド王太子殿下の婚約者に抜擢された。
だが、レイモンドはアイシャ公爵令嬢と想い合っていた。アイシャはマナの扱いが苦手で王族の婚約者としては相応しくないとされており、叶わない恋であった。
とある事件をきっかけに、ナターシャは二人にある提案を持ち掛けるーーー
これはレイモンドとアイシャ、そしてナターシャがそれぞれの幸せを掴むまでのお話。
※1万字程度のお話です。
※他サイトでも投稿しております。
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……
【完結】婚約者取り替えっこしてあげる。子爵令息より王太子の方がいいでしょ?
との
恋愛
「取り替えっこしようね」
またいつもの妹の我儘がはじまりました。
自分勝手な妹にも家族の横暴にも、もう我慢の限界!
逃げ出した先で素敵な出会いを経験しました。
幸せ掴みます。
筋肉ムキムキのオネエ様から一言・・。
「可愛いは正義なの!」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済み
R15は念の為・・
【完結】公爵家のメイドたる者、炊事、洗濯、剣に魔法に結界術も完璧でなくてどうします?〜聖女様、あなたに追放されたおかげで私は幸せになれました
冬月光輝
恋愛
ボルメルン王国の聖女、クラリス・マーティラスは王家の血を引く大貴族の令嬢であり、才能と美貌を兼ね備えた完璧な聖女だと国民から絶大な支持を受けていた。
代々聖女の家系であるマーティラス家に仕えているネルシュタイン家に生まれたエミリアは、大聖女お付きのメイドに相応しい人間になるために英才教育を施されており、クラリスの側近になる。
クラリスは能力はあるが、傍若無人の上にサボり癖のあり、すぐに癇癪を起こす手の付けられない性格だった。
それでも、エミリアは家を守るために懸命に彼女に尽くし努力する。クラリスがサボった時のフォローとして聖女しか使えないはずの結界術を独学でマスターするほどに。
そんな扱いを受けていたエミリアは偶然、落馬して大怪我を負っていたこの国の第四王子であるニックを助けたことがきっかけで、彼と婚約することとなる。
幸せを掴んだ彼女だが、理不尽の化身であるクラリスは身勝手な理由でエミリアをクビにした。
さらに彼女はクラリスによって第四王子を助けたのは自作自演だとあらぬ罪をでっち上げられ、家を潰されるかそれを飲み込むかの二択を迫られ、冤罪を被り国家追放に処される。
絶望して隣国に流れた彼女はまだ気付いていなかった、いつの間にかクラリスを遥かに超えるほどハイスペックになっていた自分に。
そして、彼女こそ国を守る要になっていたことに……。
エミリアが隣国で力を認められ巫女になった頃、ボルメルン王国はわがまま放題しているクラリスに反発する動きが見られるようになっていた――。
聖水を作り続ける聖女 〜 婚約破棄しておきながら、今さら欲しいと言われても困ります!〜
手嶋ゆき
恋愛
「ユリエ!! お前との婚約は破棄だ! 今すぐこの国から出て行け!」
バッド王太子殿下に突然婚約破棄されたユリエ。
さらにユリエの妹が、追い打ちをかける。
窮地に立たされるユリエだったが、彼女を救おうと抱きかかえる者がいた——。
※一万文字以内の短編です。
※小説家になろう様など他サイトにも投稿しています。
婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。
三葉 空
恋愛
ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……
孤島送りになった聖女は、新生活を楽しみます
天宮有
恋愛
聖女の私ミレッサは、アールド国を聖女の力で平和にしていた。
それなのに国王は、平和なのは私が人々を生贄に力をつけているからと罪を捏造する。
公爵令嬢リノスを新しい聖女にしたいようで、私は孤島送りとなってしまう。
島から出られない呪いを受けてから、転移魔法で私は孤島に飛ばさていた。
その後――孤島で新しい生活を楽しんでいると、アールド国の惨状を知る。
私の罪が捏造だと判明して国王は苦しんでいるようだけど、戻る気はなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
「リンダの決意」の中のセリフ6個目。
リンダのセリフの中に「私はリンダが大好きなんだ」とありますが、リンダではなくセリーヌですよね…?
何度もセリフ確認したのですが、リンダのセリフだから自分を好きとは言わないなと確信して誤字訂正投稿させて頂きました。
ありがとうございます!
訂正しました。
ホッコリなお話をありがとうございます❤️。
読んでいただきありがとうございます( *ˊᵕˋ*)
感動しちゃいましたぁ😭😭😭😭
ありがとうございます!
嬉しいです(´;ω;`)