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セリーナの力
しおりを挟むセリーナの光に包まれたリンダの身体は、魔女の時の若々しい姿へと戻って行った
「…どういう事?」
どう見てもリンダは20歳くらいの姿だ
「リンダの身体は、ゆっくり年老いたわけじゃないから、急激に年老いた身体を巻き戻したの。これからは人として、ゆっくり歳を重ねていきましょう」
「あんた…もう神じゃん!」
セリーナは元々、癒しが得意だった
重症の者なら時を巻き戻し救う事が出来る様になっていた
時を戻せるのは、あくまでも身体のみ…死んだものは生き還らせる事は出来ないが、そのままでは死ぬはずのものなら救えた
「お姉様カッコイイです!」
アシュリーは目をキラキラさせてセリーナを尊敬の眼差しで見つめた
セリーナの体が傾く…と、リアム王子はセリーナを抱きとめた
力を使い過ぎたのか、気を失ったようだ
「お疲れ様、セリーナ。ゆっくり休むといい」
「お姉様は大丈夫なの!?」
アシュリーは心配そうにセリーナを見つめる
「セリーナは力を使い過ぎただけだよ。眠れば回復するから安心しなー」
リンダは立ち上がり、セリーナを抱きかかえるリアム王子をベッドへと案内した
「数日は休ませないと、アシュリーの力には勝てないね。ただ、私が魔女じゃなくなったことで、この場所が見つかるのも時間の問題…。リアム王子が国を出た事で、王が探してるだろうし…」
「私が結界を張る!」
アシュリーが声を上げた!
「アシュリーが?出来るの?」
アシュリーには聖女の力もなく、魔女の様な魔法も使えない
「出来るよ。だってアシュリーはセリーナお姉様の妹だから!昔、お姉様が結界を張るところを見た事ある。お姉様の結界は、邪悪なものを遠ざける結界だったからそれはできないけど、人間を遠ざける結界なら出来る」
セリーナが大好きだったアシュリーは、どこに行くのもセリーナに着いて行った
セリーナは誰かに頼まれたから結界を張っていたわけではない
少しでも魔物から人を守れるように、人知れず結界を張っていたのだ
「この姉妹はホントに…。君達姉妹に出来ないことはないの?神をも超えるんじゃないかと思えてくる。ま、アシュリー、結界…お願いね!」
「任せて!お姉様のためなら、アシュリーはなんだって出来るもん!」
鼻をふんっと鳴らし、胸を張るアシュリーに、リアム王子もリンダも楽しそうに笑った
数日間、セリーナは眠り続けた
アシュリーの結界のおかげで、誰にも見つかることなく平穏な日々が過ぎ、ようやくセリーナが目を覚ました
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