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リアム
しおりを挟む声がした方を振り返ると、そこにはこの国ブアルテリアの第一王子、リアムが立っていた
「王子様がなぜここに!?」
リアム王子は他国と協定を結ぶ為に国々を周り、3年もの間ブアルテリアを離れていた
リアム王子がこの場所に居るなど、誰も思わなかったのだ
「私が国を離れている間に、セリーナが婚約すると聞き急いで戻って来たのだ。全て、そこの魔女に聞かせてもらった!貴様!私のセリーナを侮辱したそうだな!!」
ウィルソンは真っ青な顔をしながら、
「あ…あの…私のセリーナ…とは?」
「私はずっとセリーナを慕っていた。セリーナとの結婚を父上に許してもらう為に、国々を周り協定を結んできたのだ!私のいない隙に婚約し、しかも婚約破棄した上に妹のケイトリンと婚約だと!?貴様だけは許さん!」
リアム王子は、セリーナを子供の頃からずっと好きだった
セリーナを醜いなどと思った事もなかった
決してリアム王子の美的感覚がおかしいわけではない
リアム王子は内面の美しさを見ていた
「お、お許しください!」
ウィルソンは両膝をつき、深く頭を下げた
「リアム王子、許してあげてくださいませんか?」
「セリーナ…なぜこのような者を庇うのだ?」
「庇っているわけではありません。ウィルソン様はケイトリンの婚約者です。妹の婚約者を気づかうのは、当然の事かと…」
ウィルソンは自分のした事を後悔した
なぜなら、この状況ではケイトリンとの婚約を破棄する事が出来なくなったからだ
「そうか…それならば仕方ない。ケイトリンを必ず幸せにするのだぞ!」
セリーナはケイトリンへと近づき、背中をさすった
「…いい気味だと思っているのでしょう!?」
「ケイトリン…そんな事思っていない」
パシッ
ケイトリンはセリーナの手を振り払った
「嘘つかないでよ!私が醜いってずっと知ってたくせに!」
「おまえバカ?」
声の主は魔女リンダだ
「セリーナは最初から呪いを解くだけの力を持っていた。おまえの為に10年も醜い姿でいたんだぞ?そんなんだから、おまえは心も容姿も醜いんだよ」
セリーナが呪いをかけられた5歳の時、既に呪いを解けるだけの力を持っていた
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そう言われたセリーナは、ケイトリンの様子を見に行った
1つ年下のケイトリンは、容姿が醜くかったため、家に閉じこもりいつも泣いてばかりいた
そんなケイトリンが、外に出てはしゃいでいた
その姿を見たセリーナは、魔女リンダの呪いを受け入れて生きていくことを決めたのだった
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