6 / 10
シルビア
しおりを挟む「あの……まさか相手は、平民の男性ですか?」
「そうです! なぜわかったのですか!?」
やっぱり……2人はそっくりなんだ。
「実は、ダリル様もシルビア様と同じで、毎日違う女性に会いに行き、関係を持っていました。」
グレン様もシルビア様の本当の姿を知って、お辛かったでしょうね。
「2人は同じ事をしていた……という事ですか。実はメーガン嬢に、話さなければならない事があります。」
「話さなければならない事?」
「メーガン嬢があんな目にあったのは、私のせいなのです。」
「どういう事ですか?」
「メーガン嬢を舞踏会でお見かけした時に、私は思わず、『美しい』と言ってしまったんです。その言葉を、シルビアは聞いてしまいました。それで、メーガン嬢を貶めるような真似をしたのだと思います。」
グレン様が私のことをそんな風に思ってくださっていたなんて……
「シルビアはプライドが高く、自分よりも美しい女性を許せない性格なのを分かっていたのに、思わず口にしてしまうほどメーガン嬢が美しかったのです。こんな事を言われても、迷惑だとは思いますが、こうなってしまったのは私のせいなので、お話しなくてはと思いました。」
「シルビア様があの日私に言った、『グレン様を返して』という言葉は、本心だったのかもしれませんね。シルビア様からしたら、愛する婚約者が他の女性を褒めたことが許せなかった。ですが、グレン様のせいではありません。それに、私はこれでよかったと思っています。あのままだったら、私は最悪な結婚をしていたかもしれません。」
ダリル様に婚約を破棄されて、本当によかったと思ってる。あのまま結婚をしていたら、ダリル様は愛人を作り、お父様のお金を使いまくっていたはず……。
「メーガン嬢……ありがとうございます。そんな風に言っていただけて、少し心が軽くなりました。」
「グレン様はお優しいですね。男性がこんなに優しいなんて、初めて知りました。」
「そんな事はありません。普通ですよ。ダリルは違ったのですか?」
「ダリル様に優しくされた記憶がありません。男性は皆、ダリル様みたいなのだと思っていました。思えばダリル様には、あれをしろとかこれをしろとか、命令ばかりされていました。」
お父様もお母様にそんな風に接していたから、グレン様みたいな方は初めてで、戸惑ってしまいます。
「私は女性には優しく接するものだと思っています。ダリルとは考え方が違うようですね。シルビアは、そんなダリルに惹かれたようです。」
「惹かれた? シルビア様はダリル様を想っていらっしゃるのですか?」
「そのようです。昼は平民男性と会っていましたが、夜はずっとダリルと一緒でした。」
夜……夜までは監視していなかった。ダリル様が女性の家に入って行き、数時間経っても出て来ないから、てっきりずっとその家にいるものだと思っていました。次の日になると、邸に戻っていたのはその後にシルビア様と会っていたからなのですね。
「それなら、2人を懲らしめるいい方法を思い付きました。」
98
お気に入りに追加
2,455
あなたにおすすめの小説


婚約破棄から~2年後~からのおめでとう
夏千冬
恋愛
第一王子アルバートに婚約破棄をされてから二年経ったある日、自分には前世があったのだと思い出したマルフィルは、己のわがままボディに絶句する。
それも王命により屋敷に軟禁状態。肉塊のニート令嬢だなんて絶対にいかん!
改心を決めたマルフィルは、手始めにダイエットをして今年行われるアルバートの生誕祝賀パーティーに出席することを目標にする。

[完結]貴方なんか、要りません
シマ
恋愛
私、ロゼッタ・チャールストン15歳には婚約者がいる。
バカで女にだらしなくて、ギャンブル好きのクズだ。公爵家当主に土下座する勢いで頼まれた婚約だったから断われなかった。
だから、条件を付けて学園を卒業するまでに、全てクリアする事を約束した筈なのに……
一つもクリア出来ない貴方なんか要りません。絶対に婚約破棄します。


[完結]まだ愛を知らない
シマ
恋愛
婚約者が、好きな人が出来たと、真実の愛に出会ったと言いに来た。
学校では腫れ物扱いだけど、私は別に気にしていなかった
だって、私、彼を愛していなかったもの
私も誰かを愛し、愛されたい
キャラに名前の無い話です。
三話で終わります。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。

ある愚かな婚約破棄の結末
オレンジ方解石
恋愛
セドリック王子から婚約破棄を宣言されたアデライド。
王子の愚かさに頭を抱えるが、周囲は一斉に「アデライドが悪い」と王子の味方をして…………。
※一応ジャンルを『恋愛』に設定してありますが、甘さ控えめです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる