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シルビア
しおりを挟む「あの……まさか相手は、平民の男性ですか?」
「そうです! なぜわかったのですか!?」
やっぱり……2人はそっくりなんだ。
「実は、ダリル様もシルビア様と同じで、毎日違う女性に会いに行き、関係を持っていました。」
グレン様もシルビア様の本当の姿を知って、お辛かったでしょうね。
「2人は同じ事をしていた……という事ですか。実はメーガン嬢に、話さなければならない事があります。」
「話さなければならない事?」
「メーガン嬢があんな目にあったのは、私のせいなのです。」
「どういう事ですか?」
「メーガン嬢を舞踏会でお見かけした時に、私は思わず、『美しい』と言ってしまったんです。その言葉を、シルビアは聞いてしまいました。それで、メーガン嬢を貶めるような真似をしたのだと思います。」
グレン様が私のことをそんな風に思ってくださっていたなんて……
「シルビアはプライドが高く、自分よりも美しい女性を許せない性格なのを分かっていたのに、思わず口にしてしまうほどメーガン嬢が美しかったのです。こんな事を言われても、迷惑だとは思いますが、こうなってしまったのは私のせいなので、お話しなくてはと思いました。」
「シルビア様があの日私に言った、『グレン様を返して』という言葉は、本心だったのかもしれませんね。シルビア様からしたら、愛する婚約者が他の女性を褒めたことが許せなかった。ですが、グレン様のせいではありません。それに、私はこれでよかったと思っています。あのままだったら、私は最悪な結婚をしていたかもしれません。」
ダリル様に婚約を破棄されて、本当によかったと思ってる。あのまま結婚をしていたら、ダリル様は愛人を作り、お父様のお金を使いまくっていたはず……。
「メーガン嬢……ありがとうございます。そんな風に言っていただけて、少し心が軽くなりました。」
「グレン様はお優しいですね。男性がこんなに優しいなんて、初めて知りました。」
「そんな事はありません。普通ですよ。ダリルは違ったのですか?」
「ダリル様に優しくされた記憶がありません。男性は皆、ダリル様みたいなのだと思っていました。思えばダリル様には、あれをしろとかこれをしろとか、命令ばかりされていました。」
お父様もお母様にそんな風に接していたから、グレン様みたいな方は初めてで、戸惑ってしまいます。
「私は女性には優しく接するものだと思っています。ダリルとは考え方が違うようですね。シルビアは、そんなダリルに惹かれたようです。」
「惹かれた? シルビア様はダリル様を想っていらっしゃるのですか?」
「そのようです。昼は平民男性と会っていましたが、夜はずっとダリルと一緒でした。」
夜……夜までは監視していなかった。ダリル様が女性の家に入って行き、数時間経っても出て来ないから、てっきりずっとその家にいるものだと思っていました。次の日になると、邸に戻っていたのはその後にシルビア様と会っていたからなのですね。
「それなら、2人を懲らしめるいい方法を思い付きました。」
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